認知症介護の二言三言
これ以上がんばってはいけない。 認知症の人を介護している家族に対して、周囲の人が「がんばって」と声をかけることが普通にある。 「大変ね」と言ったあと、他にどう言って励ましたらいいか、適切な言葉もないからだと思う。 認知症をよく知らない人々にと…
認知症の人の言うことを否定してはいけない。 それがどんなに荒唐無稽で信じがたい話だったり、身内としては聞くに堪えない内容であっても、否定してはいけないらしい。 あまりにアホらしいので聞こえなかったことにして無視したいところだが、それも避けね…
認知症の人は電話に出ない。 「そんなことない。うちの母は出るよ」と言う人もいるだろう。 だが、うちの親の場合は二人とも「出ない」人だった。 親戚で認知症になった人が何人かいるが、全員「出ない」ケースで、これだけからすると「出ない」率は100%にな…
認知症介護には達成感がない。 どんなに努力しても「治らない」からだし、どんなに犠牲的に介護していても認知症の本人から「感謝されない」からだ。 どんなに世話しても報われない。 世話すればするだけストレスがたまる。 それでも延々と世話しなければな…
減点法から加点法へ、考え方を逆にするといいらしい。 認知症を発症すると「できないこと」が徐々に増えていく。単に「記憶できない」だけだったらどんなによかっただろうと思う。 電話がかけられない、お金が数えられない、字が書けない、字が読めない、リ…
病院が認知症を悪化させ胃ろう老人を作る。 このようなことを言うと、「そんな極端な」とか「言い過ぎだ」とか、「医学知識もなく病院の事情もわからないのに」とか、 医療関係者の反感があり世間一般の人々の共感も得にくいと思う。 確かに一般の病院はそれ…
認知症の人に「普通は~だから」も「普通なら~する」もない。 認知症の人の行動や発言は、普通ではない。どこかわからないけれど脳が壊れているから、しかたないことなのだろうが。 たとえば、大事なこと(重要なこと)はできないのに、どうでもいいこと(…
認知症介護の継続には逃げ道が必要だと思う。 家族による認知症の在宅介護の困難さは、常識では考えられないようなレベルで、継続していくことは大変難しい。 しかし、どんなに困難であっても最後の最後まで認知症の本人に寄り添うことが求められる。家族だ…
「認知症の人に寄り添う」のが、介護の基本だと言われている。 まさにその通りだが、実行するのは難しい。「ありのままを受け入れて、いつも傍らにいる」という、それだけでいいのだが。 それができる人が何人いるだろうか。容易なことではない。 認知症の人…
介護を継続させるには、「がんばらない」ことだ。 認知症の介護は簡単なものではないから、誰でも「がんばらないと、できない」のだが、それが継続を困難にしている原因だ。 「がんばると」交感神経が緊張する。 「がんばり続けると」一日中交感神経が緊張し…
普通の人の「あたり前」は認知症の人には通用しない。 のどが渇いたら何か飲むだろう、空腹になったら何か食べるだろう、 そういう思い込みは危険だ。 認知症の人には空腹感も満腹感もないことがあり、それで際限なく食べまくったり、何日も食べないでも平気…
認知症の人はすぐには「何もかもわからない」状態にはならない。 自分の名前や住所が言えないとしても、それはその時だけで、次の日には言えることもあるし、家族の名前なら言えるということもある。 名前がわからないなら、他のこともわからないとは言えな…
できないと思っていない、そこが問題だ。 認知症の初期は何でもできそうに見える。本人も「できる」と言うし、周囲の人も「これぐらいなら」と思う。が、一人ではまともにはできないことが多い。 そういう誤解や思い込み、周囲の人の理解不足が「ご近所トラ…
認知症の人は「一番身近にいて世話をしている人」を最初に悪者にする。探していた物がみつからないと多くの場合この人が「犯人」にされる。 これまで(過去)どれだけ世話になったか、また、これから(未来)どれほど世話になるか、それを考えたら「犯人扱い…
認知症の人は壊れた脳でもってどうにか生きている。何をするにも今までのようにはいかず、それがものすごく大きなストレスになっている。 些細なことでイライラするのはストレスがたまっているからで、脳が壊れているからだろう。がまんできないし、小さなこ…
医師や病院は認知症の人のリハビリは無意味だと思っているようだ。 認知症だとリハビリしにくいし、リハビリしても効果が期待できないから。 要介護5、寝たきりともなると、「リハビリするなら自費で、健康保険は使えない」と言われる。歩けなくてもまだ手…
「認知症なんだけど認知症には見えない」時期は、周囲の人から少しも配慮してもらえない時期だ。そう見えないのだから当然だが。 この時期が本人にとっては一番ストレスが大きい時かもしれない。
認知症の人は「要介護1」でも24時間の見守りが必要だ。 身体が不自由でないからといって、生活全般の諸々のことが「一人でまともにできる」とは限らない。一人ではまともにできない場合のほうが多い。
認知症の症状や進行、経過は個人差が激しい。 多くの実例を見てきた人でも、個別には進行の予測は難しい。
熱中症の危険度が表示される温湿度計があるらしい。 「まだ耐えられる。暑くなんかない」と主張する老父母に買ってあげたとか。 日経新聞に載っていた読者からの投稿だ。その表示を見て、「自分は暑くないけど、エアコンが必要だ」とわかってくれるのは、認…