認知症、否定しないとなると。。
認知症の人の言うことを否定してはいけない。
それがどんなに荒唐無稽で信じがたい話だったり、身内としては聞くに堪えない内容であっても、否定してはいけないらしい。
あまりにアホらしいので聞こえなかったことにして無視したいところだが、それも避けねばならないようだ。
否定すると認知症の本人に怒ったり泣いたりされるし、無視しても同様に結果的には困った状況に至る。
否定しないとしたら、どういう対応がいいのだろう。
「ふん、ふん」と適当に聞き流して生返事するだけでいいのか、「そう、そうだよね」と共感するふりをするのか、
時と場合によって違ってくるのだろうけど。
生返事も共感も絶対にできない場合だってある。
それも唐突に、何の前ぶれもなくだ。
突然「生きていても何の楽しみもないから自殺する」と言われたことがある。生返事も共感もできるはずがなく、困惑した。
びっくりして何も言えない、それが普通だと思う。
「なぜこんなことを言うのだろう」という疑問で頭がいっぱいになり、
どう対応したらいいかまでは考えが及ばない。
また、カーテンレールを指差して「ほら、どんどん水が落ちてる」と言ってた時もあった。この場合も同じで、
「とうとう幻覚まで出てきたんだ」と驚くだけで言葉は出ない。
雨でも降っていればわかるが、この日は晴天。
どこからも水音は聞こえない。
この時に「どこか水漏れしてるのかな、調べてもらうから」と言えばよかったのだろうか。
そうすれば本人が安心し、幻覚がおさまったかもしれない。
だが、そこまで頭が回らず「水がぽとぽと落ちてるの? どこが?」と質問しただけだった。
国会答弁を見ていると、答えに困った時には逆に質問する人が多い。
その気持ちがよくわかる。
事実を正直に述べることができるなら否定したいのだが、否定できないとなるとどう答えたらいいか困ってしまうからだ。
さて、答えに困った話はまだいくつもある。
電気代の請求額を見て、本人が「今月は高過ぎる。きっと隣が電気を盗んでいるからだ」と怒り出したことがある。
隣家がどうやって電気を盗むことができるのだろう。
電気代が異常に高くなったのは本人のせいで、消し忘れやエアコンの設定温度がめちゃくちゃだったからだ。
だが、認知症の本人はそんなことは記憶にはないから「誰かのせいにする」わけで、こういう解釈になったのだろう。
この場合はどう言えばよかったのだろうか。
「お隣に話しておくから安心して」とでも?
そんなあり得ないことをすらすら言えるような演技力があればいい。
慣れればできるようになるのだろうか。
<That's Ninchi Show 2 No.1252>