これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の親を介護するには

できるだけのことをする。
 
親の介護はどこまですればいいのか。親が元気な時には最後まで「できるだけのこと」をしてあげようと思っていた。誰でもそうだろうし、子としては「そうすべき」だから。
 
しかし、いざ始めたら考えが甘かったとわかる。介護というものは際限がない。すればするほど、きりがない。どこまでも終わりがなく、次々とすることが増えていく。
 
「できるだけのこと」を全てしていたら、介護だけで自分の時間がつぶれてしまう。
 
介護していると言うと、周囲の人たち(親を看取った経験者)から「あとで後悔しないように」とか「自分が納得するところまでは」とか言われる。決まってこのフレーズだ。
 
自分のできることを全てすれば、「後悔しない」し、「納得する」のだろうか。自分の時間が100%、介護に使われてしまっても。そうなると別の意味で後悔すると思うが。
 
責任感や自己満足のためにがんばり続ける。無理してガマンして、自分は納得できても親は喜ばないだろう。余裕がないのが顔に出る。笑顔で介護などできない。
 
時間がないという「あせり」、自分のことができないという「イライラ」、閉塞感や孤立感、終わりがないことへの怒り、累積疲労、その他で暗い顔つきになってくる。
 
そんな悲痛な顔は認知症の人には絶対に見せてはいけない。不安感が増すから。一生懸命に介護していても、不安感を与えて妄想を作らせてしまったら逆効果だ。
 
認知症の本人は「わが子の暗い顔」を見て、それが自分のせいだとは全然思わない。自分は正常だと思っているから、介護ストレスが原因などとは思うわけがない。
 
失業したのか、離婚の危機なのか、などと心配して妄想をふくらませるだけだ。
 
自分が「余裕をもってできる範囲の中だけ」のことをする。そういう意味で「できるだけのこと」をすれば、後悔もなく、納得もでき、ストレスも少ない。
 
自分で制限を設け、その範囲内で「できるだけ」のことをする。それ以外はしない。自分ができることであっても、自分の時間を残すためにあえて手を出さない。
 
「ここまでは」と自分でラインを設定し、それを超えないように努める。それがストレスから自分を守り、心の余裕を生み出し、安心感を与える介護につながっていく。
 
介護は無理をしないで、がんばらないで、そしてテキトーに「いい加減」にがんばる。いつも自分のための余力を残しておく、何割かの。それが心の余裕になる。
 
「自分にできること」は個人個人違う。自分で「ここまで」と決めることが大事だ。後悔のないように、納得のいくまで、できるだけ(限定で)のことをしよう。