いざ退居、入居の日を思い出して。。
入居した日を思い出す。
うちの親は四年前の四月に「サ高住」から今の施設(有料老人ホーム)に転居した。
今月その施設を退去するため、引越し荷物を作っていたら妙なものが出てきた。
ネックレスや指輪の箱が数点、中身がない。
青いビロードのケース、神戸大丸や神戸そごう等販売店の名前入りで、紙製の箱まで付いている。
施設に入居した日、妹が中身だけ持ち帰ったのだった。
「サ高住」に備え付けてあった金庫に保管していたもので、今の施設には金庫が付いてなかったから。
妹のところには娘がいるから、少し早いけど形見分け。
その日は電車だったので箱は次に車で来た時に持って帰るということだったのだが、
四年間もそのままだったとは。ほこりまみれで。
その日のこと、昨日のことのようだが早いものだ。
箱を開けながら妹が一つ一つ解説してくれた。
パールのネックレスとイヤリングのセットは白と黒の2セットで礼装用、オニキスの指輪は普段用でお気に入り。
金製の結婚指輪二点、おじいちゃんのとペア。おじいちゃんは四十数年いつも身に着けていたものだった。
それはいいのだが、誰のかわからないカメオのブローチが一つ。
長円形で縦が4cm大。
もっと不思議なのが翡翠の指輪と小さいダイヤの指輪の二点。
両方とも細い指のサイズ。
おばあちゃんは指が太かったので、誰のものだろう?
妹も見たことがないと言っているが、まさか若い時の?
若い時は写真で見るとほっそりしていたから。
本人にたずねるしかないが、その当時すでに「ありがとう」と「おねがいします」ぐらいしか言えなかった。
記憶をたどるなんて不可能。
何か思い出がある品物だったかもしれないが、何もわからない。
本人の記憶がはっきりしているうちに聞いておくべきだった。
思い出の品だとわかれば、もらった孫娘の気持ちも違うだろう。
惜しいことをしたと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1372>