認知症の人の「思い出の品」は。。
認知症でも「思い出の品」は捨てられない。
うちの親は三年ほど前から一般の老人ホーム(特養ではない)に入居しているのだが、個室の広さは18平米しかない。
その前は25平米の「サ高住」に住んでいたので、転居する時にかなりの量の物を捨ててきた。
サ高住の前は80平米の一軒家に住んでいたので、この時点で持ち物のほとんどを処分し、必要な物だけを残すようにした。
このようにして減らしてきたので今の持ち物は「ほんとうに必要な物」だけになったはずなのだが、そうではない。
この二回の引越しでも処分することができなかった物がある。
「ブルーグレーの毛糸で編んだ、おじいちゃんのベスト」で、うちの親(おばあちゃん)の手作りだ。
おじいちゃんは気に入っていて、亡くなるまで毎日来ていたものだ。
前開きで、大きなボタンが付いていて着やすい。
その後は寒い時の「おばあちゃんの日常着」になっていた。
「もったいない」し、おじいちゃんの思い出があるからだろう。
だから、サ高住に引越す時の荷物に入っていたわけだ。
今は寝たきりだし、「胃ろう」なので食堂に行くこともないからベストを着用する機会はない。
今は必要なく今後も必要ではない物なのだが、「思い出」がじゃまして捨てられない。
施設の個室に置いておいても本人が思い出すこともないだろう。
おじいちゃんのこともすっかり忘れているように見える。
認知症の人の「思い出の品」を保存するなんて全く無意味にも思うが、
「もし思い出したら」として捨てられない。
どうしても捨てられない物はあるものだ。
<That's Ninchi Show 2 No.1327>