認知症の人の保険証は家族が、施設が。。。
今の介護制度は「お一人様の老後」を全く考えてない。
老人介護とは大きくとらえると「自分のことが満足にできなくなった老人の生活を支える」という意味だ。
しかし、現存の介護制度では何かというと「家族が」「家族に」という文言が出てくる。
家族が支えるという前提で、それを手伝うのが介護制度で定められた介護職の人々、それが制度の基本設計になっているらしい。
入居した時に困るのが貴重品の管理だ。現金は小額なら「なくなってもいい」が、健康保険証や介護保険証はなくなると厄介だ。
おおかたは「健康保険証などはご家族が預かっておいて下さい」で、必要な時は家族が届けることになっている。
身体の不調やケガで施設外の診療所を受診する時などだ。
施設職員が診療に連れて行ってくれる所と、そうでない所があるが、どちらにしても家族は保険証を持って行かねばならない。
うちの親が現在入居中の老人ホームもこういう状況だ。
しかし、最初に入居したサ高住は違った。個室に金庫があったので、現金も保険証もそこで保管していたから、家族は届ける必要はない。
「緊急に近くの病院で検査」という時などは、施設スタッフが本人から鍵をもらって金庫を開けて、保険証を持って連れて行ってくれた。
うちの親は認知症になっていても、鍵は大事にしていた。おじいちゃんの写真や現金やバッグは捨てても、鍵は捨てたことがなかった。
鍵を捨てるような人だと、こういうようにはいかないだろう。
老健は二ヶ所に入所したのだが、一つめは「保険証など貴重品は全て家族が管理」で、施設側は一切かかわらない。
二つめの施設は「千円ほどの小額の現金は本人に持たせておくが、それ以上は施設で預かる」というものだった。
保険証も本人が持っていたが、紛失する危険性があったと思う。なくなっていないところを見ると、事務所で預かっていたのかもしれない。
この施設のように融通がきく所のほうが少ないと思う。施設側が貴重品を預かっていて盗難や紛失があったら責任を問われるから。
保険証を預かっている家族がいてあたり前という制度では、お一人様の老後はどうなるのだろう。
「お一人様は老いても認知症になってはいけない」ということだ。
<That's Ninchi Show 2 No.1093>