これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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対処法があると、逆に重荷となって。。

ストレスを避ける方法がわかっても、かえって苦しむこともある。

避ける方法(対処法)があるのに自分ができない場合だ。こうすればいいとわかっていても、結果としてできなければもっと苦しい。

次はこうしようと思っていても、そうすればストレスは軽減されると理解していても、そうできなかったら以前よりも悩みは深い。

避けられるのに「自分がダメだから」避けられなかったという、後悔だ。

たとえば「笑顔で介護」、そうすべきだとわかっていてできない。「笑顔で介護」を守ればある程度は認知症の悪化を遅らせることができるのに。

わかっていても、いざ認知症の本人を目にすると、「こんな姿は見たくなかった」と思い、「これからどうなるのだろう」と不安になる。

ついつい「ほんとうの気持ち」が顔に出てしまい、笑顔になれず、認知症の本人の不安感を増大させ、その結果、被害妄想の後始末に苦しむ。

対処法を知らなかった時も同じように後始末して、同じ程度にストレスを受けたわけだが、その時のほうが逆に心は軽い。

ストレスを避ける方法があるのにできなかった場合、「できない自分」に対して、後悔と劣等感と自責の念を持つからだ。

これらをたとえて「対処法がある時の重荷」だと言われている。

「対処法とストレス反応」についてマウスの実験がある。マウスの場合は対処法があると、ストレス反応は軽減されるという結果だ。

電気ショック(ストレス)に対して、ボタンを押すと回避できる(対処法がある)場合、アドレナリンの数値(ストレス反応)は減少している。

ところが、同じ実験をしても霊長類ではそうとも言えないらしい。

チンパンジーでは、(個体によっては)対処法がある場合でも「ない時と同様に、またそれ以上に」ストレス反応が出ることがある。

「ボタンを押すと電気ショックはない」とわかっているので、常に「ボタンを押さねばならない」と緊張して身構えているからだ。

「ボタンを押す」ことが重荷となっていて、それだけでストレス反応が起きる。
ただし、個体差があり、重荷となっていないチンパンジーもいる。

人間なら、個人差ということだ。重荷に感じない人は「ストレスに強い人」だと言えるかもしれない。

重荷でストレス反応が起きている人はどうしたらいいのだろう。

自分の能力を知り「できないことはできない」として、自分に対して過度の期待をしないこと、開き直ることだろうか。

認知症家族」は、認知症の人に寄り添い最後まで見守ることが求められていて、それは家族にしかできないことだ。

できないことはできないでいい。家族にしかできないことを完遂できるなら、もうそれだけで充分だと思う。

認知症の人をいつも側で見守ること」だけでも、一人では背負えないような重荷なのだから、これ以上重荷を追加しないほうがいい。

後悔と劣等感と自責の念という重荷から、自分を解放してあげよう。





              <That's Ninchi Show 2 No.1149>