介護ストレス、戦う・逃げる・固まる。。。
ストレス反応は「闘争か逃走か」反応とも呼ばれる。
たとえば、猛獣に遭遇した時など、そのストレスに対して身体は「闘争または逃走」に備えて瞬時に体制を整える。
必要なエネルギーや酸素、筋力、頭の回転、感染に抵抗するための一時的な免疫力増強などを用意する。それをストレス反応という。
緊急時に瞬時に臨戦態勢をとるためで、一種の防御反応らしい。
猛獣に対して、「戦うか逃げるか」という選択がヒトなどの哺乳類にはあるが、ワニなどの爬虫類はまた別だそうだ。
猛獣が接近して来た時に、「戦う」「逃げる」という選択肢の他に「かたまる=息をひそめて動かない」というものがある。
爬虫類は「ゆっくりしか動けない」から逃げられないし、動作が遅いと戦うにも不利だ。よって、じっとして敵が去るのを待つ。
哺乳類は進化によって「機敏な動作」が可能になった。恐竜に食われないように「すばやく逃げる」ことで生き残ってきたようだ。
ヒトも哺乳類なので、ストレスに対しては「闘争」か「逃走」という二つの道があるが、場合によっては「かたまる」こともあるらしい。
ストレス(外敵)が強大で、戦っても負け逃げても追いつかれる場合、また体力や気力が弱体化した場合は、闘争も逃走もできない。
戦うことも逃げることもできない、そういう場合には進化した哺乳類でも未進化の爬虫類と同じように「かたまる」らしい。
さて、認知症の介護ストレスに対しては、どうなのだろう?
このストレスも台風などの自然災害や猛獣の襲撃に匹敵するくらい強大だが、家族は「闘争も逃走もできない」という立場にある。
本人から攻撃されたからといって仕返しはできず、本人を置いて逃げ出すこともできない。
「闘争も逃走もできない」となると、爬虫類のように「かたまる」しかないのだろうか。どうすることもできなくて、ただ呆然と。
じっと息をひそめて「死んだふり」して、敵が過ぎ去るのを待つ。
介護のために仕事を辞し、24時間の見守りのために趣味をあきらめ、「つきあい」も断り・・という「自分を殺す」生活はそれだろうか。
短時間の「死んだふり」はできても、長ければ十年以上にも及ぶ長期間の「ひきこもり=死んだふり」はできない。
何年かの自分の人生を「百%介護」にはできない。不可能だ。
家族が自分らしく生きることを犠牲にしないと、認知症の在宅介護はできないのだろうか。
自分の仕事を続け、趣味を持ち、社会と関わりながら「介護を継続できる」ようにすべきだが、何が不足しているのだろう?
<That's Ninchi Show 2 No.1134>