これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (137) 水分の摂取

<That's Ninchi Show  No.137 >
 
水分を十分に摂取する、十分に排出する。これが老人には難しい。
 
栄養と、運動と、睡眠、適度な脳への刺激(会話など)に気をつけていても、水分コントロールができてないと、老人の健康状態はすぐに悪化するらしい。本人は「のどが乾いた」と言わないから、体内の水分が不足していても。
 
老化や脳梗塞の後遺症や認知症などで、嚥下障害が起きる。のみこむのが困難になると、よけいに水やお茶を飲まなくなる。飲むたびに咳き込んで、苦しいから。
 
暖房で乾燥する冬は、特にまわりの人が気をつけて水分をとらせる必要がある。
 
おばあちゃんが老健(介護老人保健施設)に入所してから三ヶ月、新しい環境にも慣れて、「落ち着いてます」と言われていた。当初は、何回もナースコールをしていて、夜間もよく眠れていなかったようだが、よく食べよく眠れているそうだ。
 
ナースコールもない。「不安感」がなくなったとも言えるが、認知症が進んでナースコールのボタンが押せなくなった、押し方を忘れたのかもしれない。
 
そんな時、一月の寒い日、突然施設の医師から電話があった。前日から意識レベルが低下しているので、容体が悪化した場合、どうするかと。
 
急変時には提携先の大病院に移すと、入所時にもらった説明書には書いてあった。それをなぜ今頃に確認するのだろう。救急搬送が普通では?
 
医師の話では、血液中の酸素濃度が低下していることから脳梗塞の疑いがあり、酸素吸入と栄養点滴をして、今日は少し回復したということだった。大声で話しかけると反応すると。答えはないが、目を開ける。
 
脳梗塞かどうかは、CT、MR I  などの検査をしないとわからない。が、検査をしても小さい血栓はうつらないという。
 
話しながら、大病院に移して検査や治療をしても、本人が苦しい思いをするだけで、何の意味もない、そう気がついた。九十一歳では、どんなに高度な治療をしても回復するかどうか。
 
たすからない確率のほうが圧倒的に高い。たすかっても、機械につながれて生き残ることになるだろう。以前のように周りの人としゃべることなどできずに。
 
施設で看取る、そういう選択をする家族も多いらしい。それは知らなかった。何年も介護とかかわってきて、二人も認知症老人がいても、目先のことで手いっぱいで、勉強不足、知識不足だった。入所説明のときに、ひとこと知らせておいてくれたら。
 
幸い、急変には至らなかった。話すことも、右手を動かすこともでき、「離床」して栄養ゼリーが食べれるようになった。
 
が、脳梗塞で弱ったのと、点滴だけでは水分が不足したためか、膀胱炎にかかり、しばらく発熱、血尿があり、また「寝たきりで点滴」に戻った。点滴で水分をとり、膀胱を洗い流す、そういう意味もあるそうだ。
 
長期入院からやっと施設入所できて、これでしばらくは安心と思っていたら、何度も病気になる。入院中に発病すればいいのに、入院中は何も悪いところはなかった、皮肉にも。季節がよかったからだろう。
 
冬は老人は要注意。水分の摂取、この点をおさえていないと、命とりにもなる。
 
今は膀胱炎も治り、自力でミキサー食が食べられている。施設では、食事以外に一日1000cc、水分をとるように気をつけてくれている。長い「寝たきり」と脳梗塞により、一段と認知症は進んできた。病気は確実に認知症を進める。
 
                                   (2012年3月)