これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (136) 気持ちの切り替え

<That's Ninchi Show  No.136 >
 
認知症の発病前まで、それで「人生」終わったのだと思うようにする。
 
そう思えば、どんなにひどくなっても、異常行動が耐えられないレベルになっても、何とか切り抜けることができた。「過去は過去、今は今」で、別人なのだと。
 
「あんなにきれいな人が」とか「こんなになってなさけない」とか「こんなことも覚えていない」とか、昔と比べていちいち落胆する。それを続けていたら、家族のほうが精神的ストレスで心身症になってしまう。
 
うちのおばあちゃん二人、もうとっくにこの世界から消えている。脳が作りだす認知症の世界にいて、こちら側とコンタクトはとりにくい。ときどき、こちら側に帰ってくることもある。行ったり来たりが続いて、そのうちに行きっぱなしになるのだろう。
 
認知症老人が笑わないのは、変わり果てた姿を見て家族が悩んで、いつも暗い顔をしているからとも考えられる。周囲が楽しそうにしていると違うのでは? 
 
こちらが笑えば、つられて笑うこともあるかもしれない。どうせ介護するなら、笑顔でする。多くのヘルパーさん達のように。それがお互いのためだ。
 
そう思うが、なかなか実践できない。気持ちの切り替えができないからだ。別人のようになったのを悲しむのでなく、別人として、それまでの過去と切り離して考えてみたらどうだろう。切り替えできるのでは?
 
発病前と比べない。他の老人と比べない。認知症は個人差が大きいから、急激に脳の機能が低下する人もいれば、緩やかな人もいる。どんなにひどくなっても、「昨日はできたのに」と思わない。「日々できなくなる」ものと思う。考え方しだいだ。
 
笑顔で見送る、それができたらいいと思っている。考え方を変えれば可能だ。本人の不安を取り除くためにも、家族が明るく楽しそうにしているべきで、それは気持ち次第で「できる」ことだから。
 
                                (2012年3月)