これが認知症なんだ (135) 急に進むとき
<That's Ninchi Show No.135 >
認知症の進み方は、個人それぞれ違う。前例は、あくまで参考、頼りにはできない。
一般には、介護度の基準は全国共通だと思われている。が、認定の甘いところ、きびしいところがあり、地方と都市部では違うことがあるようだ。
また介護にまわせるだけの資金的な余裕がある地域と、ない地域とでも違いが出るだろう。住民に占める割合で、老人が多いか、比較的少ないかにもよる。
要介護2、要介護3、そんなときには要介護5になったら、どんな状態で、どのくらい費用がかかるのか、まったく想像がつかなかった。
要介護2、3、そういう状態が何年も続いていた。ほぼ寝たきりだが、本当の「寝たきり」とは違って、トイレに行けたり、歩いて食堂に行ったりできる。寝てばかりいても、必要なときには、ひとりで、または介助があれば起き上がって動ける。
トイレには必ず歩いて行っていたし、テレビや新聞で、東北の巨大地震のことだって知っていた。誰が誰だかわからない、自分はどこにいるか思い出せないというレベルではなかった。生年月日も住所も覚えていて正しく答えられる。
そういうわけで、食事ができない状態、「胃ろう」を勧められる状況になるのは、ずっと先だと思って何の準備もしてなかった。突然、そうなって大慌てで、「胃ろう」について知人に聞いたり、ネットで調べたり。
老人は元気にしていても、いつでも「最悪の状態」になり得る、それを忘れていた。
介護度が軽くても、また全く介護の必要がない人でも、それは言える。いつ何が起こるかわからないと。だから、「延命」をどうするか、「延命か自然死か」は、早い段階から家族で話しあっておくほうがいいだろう。
(2012年2月)