これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (134) 老健の特養化

<That's Ninchi Show  No.134 >
 
老健(介護老人保健施設)の概念も一般と業界(介護関係の)とは「ずれ」がある。
 
一般には、病院と老人ホームの中間的施設で、退院できるぐらい回復したが、家で暮らすにはまだ心配がある、そういう老人が行くところ、それが老健だと考えられている。
 
リハビリや補足的な医療を受けて、健康状態が良くなったら次々と退所して家に帰っていくと思われている。ネットで調べると、三ヶ月とか六ヶ月という、入所期限まで出ているから、そうだろう。短期間に入所者が入れ替わることになる。
 
もしそうなら、いつでも空きがあるはずだ。しかし、現実は何ヶ月も順番を待たないと入所できない。特養(特別養護老人ホーム)とほとんどかわらない。
 
少しは早く入所できるという程度だ。人気のある老健は何百人も待機者がいて、特養と差はない。入所までに何ヶ月も待つのがあたり前になっている。
 
特養は「家」という位置づけだから、入所したら最期までいられる。なかなか空きが出ることはない。老健は最期までいるところではないから、本来は特養と同様に順番を待つということはないはずだ。
 
実態は、老健も特養と同じ使われ方になっていた。必要に迫られてか、本来の位置づけから離れてきている。病院と、自宅または老人ホームの中間点、ではなく、ひとによっては「終の棲家」、最終地点になっている。
 
「病院→老健→特養」と、スムーズに流れていればいいが、特養の空きが何年も出なければ、老健に老人がたまり続ける。制定された、六ヶ月などでは空きは出ない。
 
最初の六ヶ月が過ぎたら、延長してまた次の六ヶ月、それを繰り返していく。特養の入所を待っている間に、「お迎え」が来ることもある。
 
老健には、「病院から」でなく「自宅から」の流れもある。特養の入所が困難だから。特養のかわりに入所する。または特養の待機場所として使う。ますます老健に老人がたまる。「老健で看取る」というのも珍しいことではないそうだ。
 
「リハビリして元気に自宅へ帰る」、そういう老人が多ければ、老健の入所を数百人も待機することはない。「状態悪化で入院」や「あの世へ」ということで空きが出る。
ほとんど特養と同じだ。
 
これからの超高齢化で、特養が不足すればするほど「特養化」は進むだろう。短期入所者のために別の施設を作ったほうがいい。本来の「在宅復帰」に向けてのリハビリを必要とする人が入所できなくなり、長期入院することにもなる。
 
医療費削減のための施設に入所できずに、入院が長びき、医療費が増える。これでは何のために老健があるのか。また、本人のリハビリも大幅に遅れて機能低下が進み、そうなると介護保険の負担も増える。
 
目的とは違ったものになったからには、それなりの策を考える時ではないだろうか。