これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (133) リハビリの概念

<That's Ninchi Show  No.133 >
 
認知症の場合、リハビリの効果は期待できない。
 
家族と、施設などの専門職とでは、リハビリの概念、その言葉の持つ意味の程度が全然違う。このことに気がついたのはごく最近だ。発症後何年もたってからだ。
 
ケアプランの説明などで、毎回リハビリの状況を聞いていても、双方には大きな隔たりがあったりする。高齢者のリハビリという概念については。
 
少しも進歩していないのを、ちゃんとリハビリしてくれているのかと疑ったり、この施設はだめだと思い込んだり。お金だけかかって、何も変わらないじゃないかと不満をもったりする。
 
在宅の場合は訪問リハビリの回数を増やそうかと、また施設の場合は、リハビリ療法士の多い所を探そうかとか、考えてしまう。
 
「少しも変わらない」ということは、老化による筋力低下が抑えられている、そう判断される。専門職のほうでは。不満に思うことでなく、反対に「リハビリの効果が出ている」ということだ。それが一般には理解されていない。
 
リハビリという言葉が、何か「もとの状態に戻る」ように思わせる。
 
が、老人は、簡単にはもとに戻らない。普通に立って歩ける、それがもとの状態だが、そこまでに戻すのは困難だ。
 
高齢者でも、認知症がなければ、筋力トレーニングの効果も目に見える。が、認知症の場合は、いくら周囲が努力しても本人のやる気がなければ続かない。
 
「今の状態の存続」が、認知症老人のリハビリの目標だ、それ以上は無理。筋力低下のスピードを緩やかにすることしか望めない。
 
よって、「少しも変わらない」ことに家族は満足すべきだ。老人医療や認知症介護の知識がないと、そういうふうには思えない。少しも変わらないことに不満を持つ。
 
特に認知症の軽い時、最初のうちは、どうしてもリハビリや治療に期待をかける。認知症でも何とかなるはずと思いがちで、効果を期待してしまうのだが。
 
少しも変わらないことに満足するべく、頭を切り替えねばならない。最大限にリハビリの効果が出ているからこそ、現状維持できているのだと。