家族一人で認知症の介護は不可能だ。。
世間が冷たいのは、よく知らないからだ。
うちの親が認知症を発症して、十年になる。
この十年で世間の認知症への理解は少し進んだ。
「誰でも認知症になる」ということは広く浸透したと思う。
親が認知症だと言っても驚かれることはなくなった。
「認知症は脳の病気だ」ということも普及したようだ。
だが、「薬があるので治療できる」と誤解している人もいる。
誤解と言えば、世間には次のような大きな誤解がある。
「同居家族が一人いれば認知症の人の在宅介護は可能だ」
世間だけなく、お役所もこのように解釈している。
独居老人や老人だけの世帯には公的支援があっても、中年の子と老人の世帯には何もない。
その理由・問題点は多数あるが、大きくは次の二点。
1)家族は働きに行けない → 低収入、将来不安
2)同居しての介護では夜間に充分な睡眠がとれない。
→ 体力低下、自律神経失調、精神疾患
(1)の問題に対して世間は「施設があるでしょ、働けるはず」と言う。
施設はあっても、すんなりとはいかないのだが、
そういう事情は全く知られていない。
「認知症の人は言うことをきいてはくれない」からだ。
このことを世間の何割が知っているだろうか?
介護保険を利用して介護サービスを受けるには、介護認定が第一だ。
認定には医師の診断書が必要となる。
だが、本人(認知症老人)の多くは自分が病気だという認識がない。
「どこも悪くない」と主張して、診療を拒否することが少なくない。
この第一の壁をクリアーしても、まだ次の壁がある。
「知らない人ばかりの施設には行きたくない」とか、
「他人(ヘルパーさんのこと)が家に来るのは嫌だ」とか、
「デイサービス施設の食事が口に合わない」とか、
「まだ歩けるから、施設入所は早い」とか、
いろんな理由で介護サービスを拒否する人が多い。
(2)の問題に対してもまた世間は冷たい。
「夜眠れないなら、デイサービスに行っている時に昼寝すれば」と親戚など周囲の人に言われた家族もいた。
たとえパートでも仕事を持っていたら昼は休むことはできない。
無職でも、昼間は家事や学校行事や自分の通院などで休めない。
このように少しだけ理解を深めると、「家族一人で認知症の介護はできない」ということがわかるのだが、
世間はまだまだ、いまだに多くの人がわかっていない。
知らないから冷たい。支援の手もない。
家族一人で認知症の介護は不可能だ。
このことをわかってもらうには何をしたらいいのだろう?
<That's Ninchi Show 2 No.1350>