まぼろしの特養入所(1)
突然入所可能となり、突然それが延期となった。
うちの親は六月末に特養に入所できるはずだった。
だが、書類も準備品も全て揃えて「まぼろし」となった。
「まぼろし」となったのは、今から思えば「突然」や「偶然」の要素が多かったからかもしれない。
六月九日、うちの親はステロイド剤の副作用による糖尿病で緊急入院したのだが、その三日後に特養から電話があった。
去年の夏に特養入所を決め、いくつか申し込みしていた中の一つだ。
この施設からの電話は初めてだった。
待機順位の問い合わせで、こちらからは頻繁にかけていたが。
突然で驚いたのだが入所可能だという。
来月空くというのでなく、すでに空きベッドがあるそうだ。
本人面接をすませた上で決定するので、面接に行くとのこと。
耳を疑うというのはこういう時のことだろう。
五月に問い合わせした時は「待機順位五十から六十番」だった。
何十人もの待機者をとばすような理由はどこにもない。
優先してもらえるような変化はないし、ましてや急病で入院中だ。
入院していることも知らせていない。まだ三日だから。
入院中だと告げると、病院に本人面接に行くとのこと。
そこで急ぎ主治医と面談して今後のスケジュール(退院予定)を確認することにした。
主治医は退院と同時に施設入所は可能という見解だった。
「救急病院なので一ヶ月以内に退院です」と、また「施設には退院後のケアについて指導します」とも言っていた。
病院では血糖値を下げるためにインスリンを注射しているが、よくなってきたら錠剤に換えるので施設でも問題はないという。
数日後、特養の担当者が病院に本人面接に来た。
医師の見立てがこうなので、入所の方向で進むことになった。
指定日に入所前説明に家族が特養に来るようにと言われ、都合をつけて出向き、必要書類を持ち帰った。
もうこれで入所は確実だと思うのが普通かもしれない。
担当者は「早くて六月末、もしくは七月初めの入所予定で」と断言していたのだから。
しかし、あまりに突然で信じられない。
「ほんとに、ホント?」と思うだけだった。
突然の入所は、突然また延期となる。
入所予定の月末近くなって、特養から突然「入所延期」が告げられるのだが、詳細はまた後日。
<That's Ninchi Show 2 No.1398>