これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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高齢者住宅にも認知症対応を。。

高齢者住宅、少し配慮して設計してほしい。

町田市の「サ高住」で入居者が殺された事件では、犯人は窓から侵入したと見られているらしい。

部屋は一階で、玄関ドアは施錠してあったが、中庭に面した窓の鍵は開いていたという。

本人が鍵をかけていたら、または職員が施錠の確認をしていたら、
このような最期を迎えることはなかっただろう。

だが、老人は施錠を忘れるものだし、少ない職員で入居者全員の施錠チェックができるわけがない。

そういうソフト面ではなくハード面に焦点をあてるべきだ。
窓から誰も侵入できないような設計が必要だと思う。

それは同時に、入居者が窓から外へ出られない設計ということで、
徘徊などによる事故死の危険性をぐんと減らせるはずだ。


うちの親も「サ高住」に入居していた。
十年ほど前から四年ほど前まで、要介護1から要介護5まで。

入居時にすでに認知症を発症していて、一人暮らしでは危険だった。

「サ高住」は昼間は多くの職員が管理室にいるし、「夜でも当直の職員が一人いる」から、少しは安心できる。

ただ一つ、心配だったのは徘徊の危険性は軽減されていないことだ。

建物はオートロックで外から入るのは難しいが、入居者が出て行くのは自由で、徘徊に気づく人はいない。

監視カメラもなく、表玄関付近に職員は誰一人いない。

また、個室には全てバルコニーが付いていて、バルコニー側は大きな掃き出し窓になっている。

ここから出て行くことだってある。
認知症だから、二階だろうが三階だろうがお構いなしだ。

一階だと思い込んでいて転落したら命にかかわるのだが、
なぜそれを考えて設計してくれないのだろう。

換気だけなら、窓は10cm程度開くだけでいい。
よく見かけるが、ホテルの窓はそのような設計だ。

普通の老人ならバルコニーは必要かもしれないが、高齢者住宅の入居者は何割かは認知症だと思う。

認知症の人に対応した安全な住居であってほしい。

さて、うちの親はどうだったか。
入居と同時に徘徊は消えたので「よけいな心配」だった。

訪問介護を手厚くしてもらって、館内の食堂に行く時もスタッフが付き添うことにしていたからだ。

本人の頭の中には「どこに行くのもスタッフが一緒」と刷り込まれたのかもしれない。

バルコニーにすら一歩も出なかった。
浴室乾燥機があり、洗濯物は自室の浴室に干していたから。

うちの親が無事だったのは、ソフト面(介護サービス)の充実によって、ハード面(建物)の危険性が軽減された結果だ。

だが、それは十年前のこと。これからはそうはいかない。
介護を必要とする老人が多く、スタッフが極端に不足していては。

安全な建物であってこそ、安心して暮らせると思う。
ぜひ「認知症対応型老人住宅」を設計してもらいたい。



<That's Ninchi Show 2  No.1388>