認知症、本人が「病院に行く」と言えば。。
認知症の人が自ら「病院に行く」と言えばいい。
「行きたくない」という認知症の人を病院に連れて行くのは難しい。
「認知症の人は説得できない」から、難問中の難問だ。
断固として拒否する気持ちもわからないことはない。
本人には「自分が病気だ」という認識がないので、「病院に行く必要がない」わけで、拒否するのも当然だからだ。
病院というだけで嫌なのに、脳検査などと言われたら「不安感が極度に強い」認知症の人は尻ごみするのが普通だろう。
本人が自分から「検査に行く」と言ったからだ。
足がほとんど上がらなくなって歩行が困難になり、「脳梗塞の後遺症かもしれない」とグチをこぼしていた時、
「もう一度、脳神経科で検査してもらえば」と提案しただけだ。
また、何も障害物のない所で転んで頭を打った時、
「念のために脳のMRI、とったほうがいい」と勧めただけだ。
認知症を発症して一年から二年の頃は、「まだらボケ」であっても「まとも」が長く「ボケ」の期間が短いようで、
本人が自分の身体の不調を理解し、記憶できていたのだろう。
「歩行困難の原因をつきとめて悪化を抑えたい」とか、
「何度も転んでいるから脳に悪影響が出たら・・」などと、
普通の人のように「まともな」判断ができたのかもしれない。
「病院に行きたくない」という人をいくら説得しても、認知症なら説得に応じてくれる可能性はほとんどない。
時間ばかり費やして疲れるだけ。
「何で言うことをきいてくれないんだ」とイライラし、
腹を立て、それをガマンし、ストレスがたまるだけだ。
本人が自分から「行く」と言う、それしか方法がないように思う。
「うそも方便」で、そういう方向にもっていくことも可能だ。
「誰の言うこともきかない人だから」といって何もせずに放置するわけにもいかない。
後悔のないように努力してみて、結果的に「病院に行かない」で終わってもそれはそれでいいと思う。
うちの親は認知症が進んで「通院拒否」になった時があるが、訪問診療の先生に皮膚科の薬も眼科の薬も全て処方してもらえた。
歯科の訪問診療も何度か依頼して、虫歯も治療できた。
「病院に行かない」という結果になっても、何とかなる。
思うようにならないのが認知症介護だ。
認知症に関しては「努力に見合った成果はない」ものだから、
努力したということだけでいいと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1302>