これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の人の迷惑電話には。。

認知症の親からの電話で困っている人は多い。

「迷惑電話」とか「頻繁な電話」とかで、認知症の初期から中期、主に中期の異常行動の一つだと思う。

認知症が進んで「電話機の操作ができない」ようになると消える。

ただし、同居家族がいつも側にいる場合は別だ。わからないことがあっても側の人にたずねればいいから電話の必要がない。



うちの親の時(十年前)は「認知症の迷惑電話」について今ほどには世間で知られていなかったと思う。

だから「どんなに迷惑でも認知症の人の電話を無視してはいけない」ということを知らなかったので、数週間はガマンしたが、

そのうちガマンも限界となって無視することにした。
今から思えばかわいそうなことをしたと思う。

寝る前に全ての携帯や固定電話の電源を切った。
夜中にかかってきたら眠れないからだ。

無視するのにはもう一つ理由がある。

認知症を知らない人にはわからないだろうが、かかってくる電話の内容といったら「どうでもいい、つまらないこと」ばかりで、

無視しても何の支障もない内容だったからだ。


どうでもいい、些細なことで電話してくる。
どうしてこんなことでわざわざ電話するのかというような。

「テレビで今日は暑くなると言ってるけど、エアコンの温度は何度にしたらいい?」とか、

「寝るときどうしよう。夏布団とタオルケットとどっちがいい?」

というような、つまらないことばかり。
「何でこんなことがわからないの?」という質問ばかりだった。

それに対し「何度がいいって、そこにいるわけじゃないからわからない。暑かったら一度下げたらいいし、自分の感覚で調整して」

と答えて終わる。
終わったと思ったらすぐにまた電話が来る。

「26度か、27度かなあ。どっちがいい?」
ここでやっと自分の感覚で温度設定ができないとわかった。

終わりのない電話を終わらせるためには曖昧な返答ではなく、
きっちりとした「答え」が必要らしい。

「では27度にしてください。27度」と言ってやっと終わった。
これなら寒すぎるということもないだろうと思ったからだ。

今年も猛暑になり、大阪は連日35度だ。
エアコンをかけるたびにこのことを思い出す。

今もどこかで「エアコンの温度設定がわからない」老人が電話をかけまくっているかもしれない。

認知症の人の迷惑電話には理由がある。
迷惑ではあるが、認知症の人の電話を無視してはいけない。





<That's Ninchi Show 2 No.1294>