認知症の人の「できない」には理由が。。
認知症だと少しづつ何かができなくなる。
できないことの中には「誰かが側で助言すればできる」ことも多いので、「一人ではできなくなる」と言うのがより適切だろう。
うちの親(86歳、胃ろうで寝たきり)は認知症発症時に一人暮らしだったので、「できないこと」が急激に増えたように思う。
最初にできなくなったのは何だったかと思い出すと、料理か洗髪かでどちらが先だったかよくわからない。
料理しなくなった理由を本人は理路整然と説明していた。
お弁当やスーパーのお惣菜を買ってきてレンジで暖めたり、外食したりして、ほとんど台所仕事をしなくなった。
洗髪については理由はわからない。
本人は「しんどいから」としか言わなかった。
いつの間にか自分で洗うのをやめて、週に一回近所の美容室で洗ってもらうようになっていた。
これらのことが認知症によるものかどうかも不明だ。
認知症と診断されるのはずっとあと、一年から二年後だったから。
認知症だと気づくのが遅れたからだが、「家族が同居していたら、発見もその後の経過も違っていただろう」とは思う。
「洗髪しなくなる」ことについて、ネットに意外な投稿があった。
同居家族の方(娘さんらしい)の投稿だが、認知症のお母さんが洗髪しなくなった理由を話してくれたそうだ。
シャンプーの付いた髪をシャワーで洗い流そうとしても「どこにシャワーの湯があたっているか、わからないから」だという。
そんなことがあるのだろうか。
普通では考えられないが、認知症の人は普通ではないから。
皮膚の感覚が極端に鈍くなっているのか、その感覚を脳に伝える機能に不具合が起きているのか、どっちだろうか。
うちの親も同じような理由だったのかどうか。
この投稿を見て再認識させられたことがある。
認知症の人の「できない」には理由があるということを。
ただその理由があまりにも普通の人の感覚と離れているので、誰も想像がつかず、「怠惰、わがまま」だと思いがちだ。
「なぜやろうとしないんだ」とか「できないはずはない」とかで、
イライラしたり、本人を叱咤激励したりしてはいけない。
家族だけは本質を理解してあげるべきだと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1292>