これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症、身近な人を悪者にするのは。。

世話をすればするほど憎まれる。

普通ではあり得ないことだが、認知症では「よくある」ことだ。
最も身近にいて最も長い時間世話している人が憎まれる。

認知症では「物が盗まれた」というような「被害妄想」があるが、
本人から加害者(悪人)だと名指しされるのは、多くの場合、

最も身近な人で、熱心に介護している人、家族だ。

いつも側にいて面倒をみてくれる人に対して、普通なら「ここにあった財布がない。盗んだでしょ」などとは言わない。

普通の老人ならば言わない。たとえ少しばかり疑ったとしても、じっとガマンして口に出すことはないだろう。

気を悪くして世話してくれなくなったら困るからだ。
普通の人はそう、これからのこと(未来)を考えることができる。

また、これまで熱心に介護してくれたという記憶(過去)から、「この人が盗むはずはない」と判断することも普通の人ならできる。

だが、認知症の人はそれらが全くできない。

認知症の人は思ったことをそのまま遠慮なく口に出すことが多い。
言いたいことを言わずにはいられない。ガマンできない。

感情を理性で抑えること(自制)が難しいのだろう。

「こんなことを言うと相手が傷つく」という他者への配慮や、「その結果、自分が不利な立場になる」という予測はできない。

これからのこと(未来)を思って行動することが難しいようだ。

同じように過去の記憶データを参照して「この人は盗みをするような人ではない。信頼できる」と判断することができない。

いままでのこと(過去)を思って行動することも難しいらしい。

そういうわけで、家の中で何かが紛失した時、たとえば「財布がいつもの場所にない」時などは短絡的に「盗まれた」と訴える。

本人が「いつもとは別の所に置いた」としても、本人はその記憶がないので、本人以外の家族の犯行だと思うのだろう。

本人は「自分には過失はない」という絶大な自信があるからだ。
認知症で記憶があやふやだ」という認識がないからでもある。




認知症の人は最も身近で世話してくれる人を悪人にする。
それはなぜかというと、脳が壊れているからだ。

記憶力だけでなく、自制力も適切に判断する能力も失われている。

それがわかっていても、悪口を言われながら世話するなんて、
割りに合わないし、やりきれない。

世話をすればするほど憎まれる、そんなことあり得ない。
だが、認知症では「よくあること」だ。





<That's Ninchi Show 2 No.1287