特養、「寝かせっぱなし」にしない。。
大阪市の特養に入所相談に行った。
うちの親(86歳、胃ろうで寝たきり)は特養(介護老人福祉施設)ではなく一般のいわゆる「有料老人ホーム」に入居している。
この名称はどうかと思う。「有料」というが、どこにも「無料」の老人ホームはないからだ。
生活保護受給者だけは無料で入所できるらしいが、それ以外の多くの人々にとっては「全てが有料老人ホーム」なのだから。
うちの親の世代がよく言う「養老院」は無料だったのだろうか。
さて、久しぶりに入所相談に行ってみての感想だが、「施設はだいたいどこも似たようなもの」というのが一つ。
次に「特養は重度の人の割合が多いのか、空気が沈んでいる感じ」で、「テレビを見たり、会話をしている人がほとんどいない」こと。
この点は以前に見学したいくつかの特養も同じで、「通りすがりに入居者に挨拶して何の反応もない」のも共通している。
入所待機期間が長いせいで、「こんにちは」に対して反応があるようなレベルでは入所できないのかもしれない。
違う点もあった。第一に廊下が広くゆったりしていることだ。
両側に長いすを置いても、真ん中にストレッチャーが通るスペースがある大病院の廊下、それぐらいの幅がとってある。
個室や四人室などの居室は一般的な大きさだったが、
全室に介助しやすい広さのトイレが付いているのは良い点だ。
もう一つ良い所を言うと、相談員さんの話では「歩けない人でも、寝たきりの人でも日中はリビングで過ごされている」とか。
車椅子やリクライニング式車椅子など、個人個人に適した「疲れにくい補助具」を使って、居室から連れ出すことが可能だそうだ。
「寝かせっぱなし」にしない、そういう方針なのだろう。
うちの親は一日じゅうずっと個室で天井を眺めているのだけど、ここの施設では対応が違うのだろうか。
今まで見てきた多くの施設ではそれが普通だった。
胃ろうで寝たきりの人は一日じゅうベッドの上、室外には出ない。
相談員さんの話では胃ろうの人も例外ではなく、室内に閉じこもっている人は一人もいないという。
それならぜひ入居したいものなのだが、やはり「胃ろう枠」は埋まっていて、望みは全くないらしい。
というのも「入居者の内で胃ろうになりそうな人」が何人も予想されていて、その人々だけで「胃ろう枠」がなくなるからだそうだ。
思ったとおりというか、やはりというか、
胃ろう老人に行くところはない。どこにもない。あの世だけ。
「施設入所を考えているなら胃ろうになる前に」と、
わかっていても突然胃ろうになってしまったのだから。
前人のアドバイスがあってもなくても同じだった。
「油断していたら突然悪化するから、入所は最速で」と、
「まだいいだろう、それは禁物」だと、
自分ならこのように言ってあげようと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1283>