これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症、本人が自覚していても。。

認知症の早期発見が難しい理由はいくつもある。

最も多いのは「老化だとして見過ごす」ことだと思うが、専門医がほとんどいないことも大いに関係しているだろう。

また「家族が気づいた時には遅すぎる」ことも多い。周囲の人々にまで異常がわかるほどに症状が進行してしまったということで。

本人でないと気づかないような「ささやかな異常」が出た時に、さっさと検査し診断してもらうことが必要なのかもしれない。

家族が気づいてからでは早期発見とは程遠く、うちの親のように診断や治療の開始が中期になってからということもある。

ただし本人が異常を自覚していたとしても、担当する医師がわかっていなければ認知症だとは診断されない。

思えば、うちの親だって「何かこの頃へんだ」と自覚していた。

ある日「今年はお父さんの命日に遅れてしまった。お祖母ちゃんの命日の分を代わりに送っておいてくれる」と頼まれたことがある。

毎年きちんと各自の命日に合わせて前もって寺社に送金していたのだが、どうやらそれを忘れてしまっていたようだ。

忘れるはずもないことを忘れていて、本人は気落ちした様子で「どうも近頃おかしい。悪いけどこれからは頼むわ」と言っていた。

これは認知症の始まりかもしれないと思った。

しばらくして、転んで頭を打ったという知らせが来た。今から思えば転倒も認知症の始まりのサインだったのだが、

「高齢だから足が弱っているんだな」と思った。

頭から転んだので頭部の画像検査も受けたが、特に異常なし。
ついでに「脳の萎縮はどうですか」とたずねてみたら、

医師は「萎縮はありますが、お年がお年だから。年相応です」と。

そう言われて安心してしまったのがまちがいだったのだろう。
脳の画像だけでは認知症はわからないということを知らずに。

そののち認知症の症状が進行して妄想が出た頃にまた脳のMRIをとったが、画像を見た医師には「特に変化はない」と言われた。

画像からは進行した原因はどこにも見られない。
画像だけでは何も言えないということだった。

脳の萎縮が進んでいても認知症ではない人々もいるそうだ。
脳細胞の量だけの問題ではなく、「使われているかどうか」もある。

パソコンにたとえるなら「ハードは壊れていないが、ソフトが壊れている」と記憶できなくなる。それと同じだろう。

こういうわけで「本人が自覚していても早期発見できなかった」のだが、もし専門医がいたなら違う結果になったかもしれない。

今の医学では脳の損傷というような「ハードの異常」をみつけることはできても、脳機能という「ソフトの異常」は難しいようだ。

認知症の専門医がいないことも大きな要因だと思う。
よくわかっていない医師ばかりでは早期発見は難しいだろう。



<That's Ninchi Show 2 No.1263