これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

FC2ブログに引っ越しました。週一回か二回は更新しています。

「認知症なら普通のこと」だと知れば。。

認知症なら、それが普通だよ」と言ってもらえたら。

親が認知症になってからというもの、毎日毎日が驚きの連続だった。
それまで、認知症について全くと言っていいほど知らなかったから。

見たことも聞いたこともないような現実に際して、どうすればいいのかわからず途方にくれるばかりだった。

自分だって認知症の「世間なみの知識」はあったはずだが、それと現実とのギャップの大きさと言ったら・・・

言葉では説明できないくらい、それほどの差がある。

「こんなこと半世紀生きてきて初めて」という場面に日常的に頻繁に遭遇するので、対応に悩み、解決に向けて奮闘するのだが、

なにせ「前例のないことで、周囲からの助言もほとんどなく」上手に対応できず、問題解決どころか事態悪化を招くことが多い。

そこで困ってしまって介護の専門職の人に相談したのだが、ここでも多くの場合は解決には到らなかった。

介護施設の相談員の人は誰でもたいてい先ず「一番困っていることは何ですか」と問うのだが、これが難問だった。

自分としては「困っていることばかり」で「ことごとく困っている」わけで、優劣はつかないし、全てを解決したいと思っていたので、

何から何まで全部、困っていることを話してしまった。

するとそれらのことは全部「認知症なら普通、よくあること」だと言われ、拍子抜けしたというか、がっかりしたというか、

(驚かれもせず少しも同情してもらえず、がっかりしたのだが、
驚くようなことでも「特に大変」なことでもなかったからだ)


「みんなそうなんだ」とわかって妙に安心したというか、
肩の力が抜けたような気持ちになった。

何の解決法も提示されなかったけれど、なぜか気分がすっきりとして帰宅したという記憶がある。

「特別ではなく、認知症なら普通のことだ」とわかっただけで、
たったそれだけのことで気持ちがラクになるのだろうか。

さて、親が終末期になった今なら「最も困ったことは何か」の質問に対して即座に答えることができる。

うちの親の場合は「介護拒否」だ。
当時はなぜ答えられなかったのだろう?




<That's Ninchi Show 2 No.1246