これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の人が自殺をほのめかしたら。。

認知症の人への対応は実に難しい。

いろいろな場面での適切な対応法は、一般例としてはある。
それを前もって知っているなら少しはいい対応ができるはずだ。

しかし、「認知症の人の言うことを否定してはいけない」と教えられても、現実での実際の応用法がよくわからず困ることもある。

うちの親の例だと、次のような対応困難な状況があった。

サ高住に入居してずいぶんたって慣れてきた頃だが、「こんな身体になって楽しいことが全然ない」と言うようになった。

テレビドラマを見るのを楽しみにしていた人だったが、認知症の記憶障害でドラマを見ても話の内容がわからず、見なくなった。

友人との買い物や外食も好んでいたのだが、できなくなった。
認知症によるバランス障害で歩行困難となったからだ。

グチを繰り返していたが、ある日突然「生きていても楽しいことが何もないから自殺したい」と言うようになった。

こんな発言に対してどういう対応が正しいのだろう。

「そんなことはないよ。長生きしたら孫の花嫁姿も見られるし、楽しいことはたくさんあるから」と言おうとしたが、

それでは本人の言うことを否定したことになる。

否定してはいけないとなると、どう言えばいいのだろう。
マニュアルには「否定せずに話題を変える」という方法もある。

そこで「自殺するっていうけど、簡単じゃないし苦しいよ。痛いよ。」と言ったら、本人は黙ってしまった。

しばらくして「舌を噛み切るって、やっぱり痛いかな?」と言う。

「ものすごく痛いよ、きっと。やめたほうがいい」と言うと、この時はこれで終了となった。

次の日もその次の日も同じ会話を繰り返していたが、いつの間にか自殺願望が消え、この話をしなくなった。

うつ病の人は自殺願望が出るというが、認知症のストレスのせいで一時的に「うつ状態」になっていたのだろうか。

当時は対応に悩み、眠ろうとしても眠れない日もあったが、今から思えばこの程度で終わってよかった。

もしそのままどんどん悪化して「ラクに死ねるように殺してほしい」などと言われたりしたら、どれだけ困ったことか。

認知症の親を殺してしまったという事件では、「親に何度も何度もしつこく頼まれて」というケースもある。

普通なら頼まれても殺しはしないが、介護している家族の精神状態だって普通ではなくなっているから。

認知症介護と無関係な人には「どうして?」の事件だ。

精神科医でもなくカウンセラーでもない一般の人が、認知症という脳障害者への適切な対応ができるわけがない。

ところで、認知症の人が「自殺する」と言い続ける時の最も適切な対応とはどういうものなのだろう。

また、どういう理由でこのような発言となったのだろう。
そして、なぜ突然このような発言が消えたのだろう。




<That's Ninchi Show 2 No.1247