認知症の幻覚、脳の自動作成。。
脳には自動作成機能があるらしい。
今見ている光景だって100%現実そのものではないという。一部は脳が過去の画像データを使って作成したものだそうだ。
散歩している時、歩く速度に合わせて眼前の光景が変わるが、このためには一瞬のうちに多くの画像処理が行われないといけない。
高度に発達したヒトの脳でも瞬時の処理は難しいので、何割かは過去見た画像データの蓄積を利用しているそうだ。
認知症の人と接していると「見ているものが違う」とか「普通の人とは違う世界にいる」とか思うことがある。
普通の人が見えていないものが見えていることがあるからだ。
見えているだけでなく、音声も。いわゆる幻視・幻聴だが、それを認知症の人は現実だと信じて疑わない。
なぜそのようなことが起こるのか不思議だったが、脳の自動作成機能と関係があるのだろうか。
脳科学者に言わせれば「自分が見ている世界とは、脳が見せてくれている世界」ということになるだろう。
眼前の風景という現実の情報(光データ)を脳が処理して「風景の画像」にして、我々はそれを「見えている」と認識する。
現実の情報(光データ)が不足したり、よくとらえられない時は過去のデータを利用して作成して補完する。
普通の人の見えている世界でも実は「ホントではない部分」があり、自分はそれが「ホントのホント、現実」だと信じている。
それを思えば認知症の人が幻視を現実だと信じていることを笑えないし、信じていても少しも不思議なことではない。
脳の自動作成機能が少しおかしくなって、現実離れしただけだ。
ところで、認知症の人の「作り話」も実のところは「脳の自動作成」によるものなのだろうか。
「昨日の夕方、家族で外食した」というような記憶(エピソード)が丸々ごっそり思い出せないというのが認知症の特性だが、
ここに別のエピソードが上手くはめられていることがある。
思い出せない記憶データの代用品として、過去の記憶を材料にして自動的に作られたのだろうか。
画像や音声だけでなく、エピソードという物語まで自動作成されるのだろうか。
この点は機会があれば脳科学者の意見を聞きたい。
どういう理由でここまで現実離れしたものになるのか、その点も。
<That's Ninchi Show 2 No.1243>