認知症が進んで食べられない、のではなく。。
何もかも認知症のせいにする、そんな傾向がある。
認知症の人は「身体の具合が悪くても不調を訴えることがない」場合が多いようだ。自覚できないか、言うのを忘れてしまうのか。
だから周囲の人がよく見ていて気づいてあげねばならない。
しかし「ふだんと違う」様子があったとしても、熱もなく病気があるように見えない時などは「認知症が進んだ」とされることもある。
わからないことを全て認知症のせいにする。
まるで原始人が森羅万象を神のなせる業だとしていたように。
うちの親は二人とも一時的に「食べられない」状態になったことがあるが、当初は原因がわからなかった。
後に判明した原因はどちらも脳梗塞だ。
ストレス反応が持続すると「何ものどを通らない」「食べようとしても吐き気がして食べられない」ことがある。
認知症介護のストレスでもよくあることだ。
認知症の本人のストレスはそれ以上で、ストレス反応と共に生きているとも言えるので、当然「食べられない」状態になる時もある。
これが「認知症のせいで食べられない」状態で、施設などではこういう場合は「様子を見る」らしい。
親が当時入所していた老健の職員の話では「何日かすると自然に食べ始める」例がいくつもあるそうだ。
うちの親も心理的ストレスによるものと言われていた。担当職員によると原因は「家族が長期間面会に来なかったから」だそうだ。
ただし全く何も食べなかったのではなくプリンやゼリーは食べていた。
食事は「毒が入っている」と言って一切食べようとしないらしい。
何日かしても同じ状態で、施設は困ってしまったのだろう。
「衰弱する前に胃ろうを」と提案された。
やはり脳梗塞だった。
細い血管がつまる「ラクナ梗塞」というものだ。
もう一人の親は「心原性脳梗塞」で、脳の太い血管がつまるタイプだ。
その後何回も再発し、三年半前の発作で嚥下障害となり、思いもよらぬ早さで「胃ろうで寝たきり」となった。
脳梗塞発作のせいで「一時的に食べられない」状態になったので、嚥下リハビリができたなら元のように食べられる可能性もある。
他の原因がないか考えてみて、検討してからその結論に到ってもいいように思う。
脳梗塞発作が原因だったら様子を見ている余裕はない。
治療が遅れると後遺症も大きくなる。
何もかも認知症のせいにしてはいけない。
<That's Ninchi Show 2 No.1241>