これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症が進んで食べられない、のではなく。。

何もかも認知症のせいにする、そんな傾向がある。

認知症の人は「身体の具合が悪くても不調を訴えることがない」場合が多いようだ。自覚できないか、言うのを忘れてしまうのか。

だから周囲の人がよく見ていて気づいてあげねばならない。

しかし「ふだんと違う」様子があったとしても、熱もなく病気があるように見えない時などは「認知症が進んだ」とされることもある。

わからないことを全て認知症のせいにする。
まるで原始人が森羅万象を神のなせる業だとしていたように。



うちの親は二人とも一時的に「食べられない」状態になったことがあるが、当初は原因がわからなかった。

後に判明した原因はどちらも脳梗塞だ。

「食べられない=摂食障害」というと、ストレス過多社会に生きている現代人は心理的要因によるものと考えるだろう。

ストレス反応が持続すると「何ものどを通らない」「食べようとしても吐き気がして食べられない」ことがある。

認知症介護のストレスでもよくあることだ。

認知症の本人のストレスはそれ以上で、ストレス反応と共に生きているとも言えるので、当然「食べられない」状態になる時もある。

これが「認知症のせいで食べられない」状態で、施設などではこういう場合は「様子を見る」らしい。

親が当時入所していた老健の職員の話では「何日かすると自然に食べ始める」例がいくつもあるそうだ。

うちの親も心理的ストレスによるものと言われていた。担当職員によると原因は「家族が長期間面会に来なかったから」だそうだ。

ただし全く何も食べなかったのではなくプリンやゼリーは食べていた。
食事は「毒が入っている」と言って一切食べようとしないらしい。


何日かしても同じ状態で、施設は困ってしまったのだろう。
「衰弱する前に胃ろうを」と提案された。

胃ろうを付ける前に原因究明が先だと思い、「認知症だと検査しにくい」としぶる医師に頼み込んでMRI検査してもらったら、

やはり脳梗塞だった。
細い血管がつまる「ラクナ梗塞」というものだ。




もう一人の親は「心原性脳梗塞」で、脳の太い血管がつまるタイプだ。

長年の高血圧が原因で七十代前半に心房細動が起き、心臓でできた血栓が脳に運ばれて最初の脳梗塞発作が起きた。

その後何回も再発し、三年半前の発作で嚥下障害となり、思いもよらぬ早さで「胃ろうで寝たきり」となった。


認知症で胃ろうで寝たきり」と言うと、世間の人は「認知症が進んで食べられなくなった」と思うかもしれない。

だが、うちの親は違う。認知症ではなく脳梗塞発作のせいだ。

脳梗塞発作のせいで「一時的に食べられない」状態になったので、嚥下リハビリができたなら元のように食べられる可能性もある。

第一回めの脳梗塞発作の時は認知症でなかったのでリハビリして元の生活に戻れたのだから。

認知症だからリハビリできない」と医師に言われ、医療から見捨てられた結果だということを思えば、認知症のせいとも言える。




認知症の人が突然食べなくなると「認知症が進んだ」せいにしてしまいがちだが、どうなのだろう。

他の原因がないか考えてみて、検討してからその結論に到ってもいいように思う。

脳梗塞発作が原因だったら様子を見ている余裕はない。
治療が遅れると後遺症も大きくなる。

何もかも認知症のせいにしてはいけない。






<That's Ninchi Show 2 No.1241>