これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症介護、一人で担えると思われて。。

お母さん一人に背負わせないでほしい。

昔から老人介護の担い手は多くが「お母さん、お嫁さん」だ。
慣習的に専業主婦なら「一人で担える」と思われている。

仕事をしていても「パート」なら介護する余裕があるとみなす人もいる。時には、家事や子や孫の世話しながらでもできるとさえ。

仕事と介護と家事育児を同時にこなすことは、介護する対象が認知症でなかったら、条件・能力次第で可能かもしれない。

しかし、認知症では不可能だ。24時間の見守りが必要だから。
介護だけに時間をとられ、家事すら困難になる。

では、「仕事も家事・育児も全てしなくていい、介護に専念」という条件なら、一人でも可能なのだろうか。

親戚の例がちょうどそれにあてはまる。

お父さん(後期高齢者)が認知症になり、お母さんが自宅で在宅介護していて、息子夫婦(五十代)は同居して家業を継いでいた。

商店と住居は同じ敷地にあり、息子の嫁は家事しながら店の手伝いができるから、お母さんは家事を一切しなくていい。

介護保険の介護サービスも限度ぎりぎりまで使っていた。
これなら一人でだいじょうぶと、息子は思っていたことだろう。

お母さんは「この日のために」介護ヘルパーの資格もとっている。

「週三回のデイサービス、デイのない日は訪問介護」というプランで暮らしていたが、お母さんが睡眠不足で体調不良に。

料理や洗濯などの家事を全てお嫁さんがしてくれ、介護だけしていればいいという環境でも、一人では無理だった。長くは続かない。

お母さんの睡眠時間を確保するために、週の半分は「デイサービスの施設に泊まる、お泊りデイ」を使うことにしたそうだ。

一回一万五千円ほどだと言っていた。介護保険外だから。

そこまでお金をかけるなら施設に入居したほうが安かったと思うのだが、「どうしても在宅介護で」という人もいるから。

お母さんは「もう限界だと思ったら施設に行ってもらうから」と一人で五年間がんばり、結果として在宅で看取った。

看取ってやっと眠れるようになったという。

認知症の人を自宅で介護する家族の、多くが睡眠不足という統計があるらしい。


介護に専念できる環境であっても、一人では睡眠時間が確保できないから、長期間の介護は継続できなくなる。

家事や仕事をしながらの在宅介護など無理、眠らなくても元気に働ける人などいないから。皆がナポレオンだったらいいが。

お母さん一人に背負わせないでほしい。
「だいじょうぶ、一人でできる」と言ってくれたとしても。





<That's Ninchi Show 2 No.1186>