これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の親にやさしくできないのは。。

家族だからやさしくできない、それが普通だ。

先日テレビで「認知症の親を看取ったあと介護職に就いた人」の話を聞いて、気になった言葉がある。次のような内容だ。

「親には少しもやさしくできなかったが、他人なら落ち着いてやさしく接することができる、そこが不思議です」

これは少しも不思議なことではなく、普通のことだと思う。

家族だから他人以上にやさしく介護できるのは、認知症ではない場合だけで、認知症の場合は別だ。

認知症の場合、家族だからやさしくできない。
やさしくしようと努力しても、努力しても普通はできないものだ。

認知症の人の中には介護拒否が出る人もいる。

薬を飲ませようとしても嫌がって飲もうとしなかったり、入浴や着替えを断固として拒否したりする。

親には「なぜ言うことを聞いてくれないのだろう」とイライラするが、他人なら笑顔で「あとでまた来ますね」と言える。

薬を一回や二回飲まなくても大してかわらないのだが、家族としては少しでも良くなってほしいという強い願いがある。

家族には仕事に行く都合などがあり、どうしても今、この時間には入浴をすませたいと思っていたりもする。

仕事や家事の都合があって、思うように介護に時間をさくことができず、本人をせかせる場合もある。

他人なら、どんなにもたもたしていても「ゆっくりでいいですよ」とやさしく声をかけることができる。

その時はイライラするとしても、仕事として介護しているなら勤務時間だけのことだから。

24時間365日イライラしっぱなしの家族とは同列にはならない。

「時間の余裕」のない家族には「やさしくできるだけの心の余裕」もないわけで、本来なら認知症の介護には不適切だ。

「やさしくできない」ことで悩む人が多いが、できなくても自分を責める必要は全くないと思う。

できないのが家族だと思えばいい。

家族に求められることは最後まで側にいることだ。
それができたならもう充分、それだけを目指していこう。


<That's Ninchi Show 2 No.1178>