認知症家族の不安、セルフケアで。。
認知症の本人だけでなく、家族も常に不安だ。
本人の不安感を減少させることで、症状悪化は抑制できると言われている。不安感の除去こそが、何よりの薬だ。
それを担う立場の家族の心の状態が鍵になる。大きく影響する。
何の医学的知識もない家族が、突然「脳機能障害」という介護が難しいケースを背負いこむことになれば、不安感はこの上ない。
認知症について知らないから不安で、これからどうなるのかわからないから不安で、なぜこうなっているのか理解できないから不安だ。
認知症を発症してから眠ってばかりいる親を見て、なぜ一日じゅう眠いのかわからなかった。
また「眠ってばかりでいいのだろうか」と不安になった。
無理やりでも起こして運動させるのが本人のためかもしれないと。
脳を休ませ、身体も休ませてばかりいたら認知症によくない。
脳の活性化のために運動すべきだと。
しかし、「本人の嫌がることはさせない。無理強いしない」というのが認知症の対応マニュアルにあるから、そうはできない。
「何もできないで悪化するのを見ているだけ、これでいいのだろうか。早く何とかしないと」と気持ちは焦る。
医師に相談してみても「わかりません」と言われるばかり。
医師や病院や薬が何とかしてくれるなら、家族の不安感は薄らぐのだが、脳のことは医師でもよくわからないらしい。
「ここが壊れているので、こういう症状が出ているから、このように対応するといい」という答えを期待して、いつもがっかり。
それならと介護職の人にたずねて指導してもらおうとするが、こちらも頼りにはならない。
認知症本人のケアだけでも手一杯なのに、家族のケアまでは無理だ。
施設の入所相談に行って、相談員の人に「毎日の介護の悩みや不安」を洗いざらい話したことが何度かある。
「困っていることをお聞かせください」と言われるから。
話すとすっきりするのだが、相談員さんにしてみれば忙しいのに時間をとられて迷惑なことだろう。
家族としては自分の心の不安を自分で何とかする(=セルフケア)ことしかないのだろうか。
不安感は「言葉にする」という過程を経ると減少するらしい。
研究者によって実証されているようだ。
誰かに悩みを聞いてもらうのがいい。
それができないなら日記に書いておくだけでもいい。
家族がいつも不安だったら、認知症の本人は安心できない。
セルフケアで不安を取り除くことが先決だと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1168>