これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症で一人暮らしは可能だろうか。。

認知症で一人暮らし」は可能だろうか?

うちの親二人の実例からすると、不可能だ。
発症後の一人暮らしでは問題が続出し、「ご近所」に大変な迷惑をかけた。

それは特例で、うちの親だけなのかもしれない。

多くの認知症患者を調査した結果で判断すべきだが、そんな調査に政府が費用をかけるはずもないし、ここは専門家の意見を聞いてみることだろう。

「一人暮らしは無理だ」とは言ってなくても、多くの専門家が「一人暮らしの不安は認知症を悪化させる」ことを指摘している。

それは、「今のところ、一人でもだいじょうぶ」であっても、不安感によって脳細胞の破壊が進み、「明日、突然大きな問題が起きる」可能性があるということだ。

認知症の進み方は予想がつかない。

いつもいつも突然、唐突に「できなくなる」ことにより、いくつもの問題が生じる。
うちの親の例では、電話機やエアコンなどの操作がそれだった。

五月だというのに大阪は連日三十度、テレビでは「熱中症に注意を」と呼びかけているが、突然エアコンの操作ができなくなったらどうする?

離れて住む家族に「エアコンが壊れた」と電話をかけてくればいいが、電話機の操作もできなくなったらどうなのだろう?

うちの親は隣家に電話を借りに行っていたが、認知症のバランス障害で立ち上がるのが困難になってからはそれもしなくなった。

認知症の一人暮らしには「ご近所の支え」が必須条件だ。

しかし、たまに隣家の奥さんが様子を見に行ってくれても、インターフォンに出ないことが多くなり、ご近所からも孤立するようになった。

なぜ出ないのか、問いただしてもムダだ。「鳴らなかった」「誰も来ていない」と言うだけで、「知ってて(故意に)出なかった」とは言わない。

インターフォンの操作もできなくなったか、立ち上がるのが面倒だったか、もしくは来たのが誰かわからないので、知らない人と話をするのがこわいからだろう。

電話にも出ないし、インターフォンにも出ない。宅配のお弁当屋さんも、訪問介護のヘルパーさんも、訪問診療の医師も家に入れない。

どうしようもなくなって「サ高住」への入居を決めたのだが、今から思えばもっと早く決断して入居させてあげればよかった。

決断できなかったのは「本人が嫌がる」からだが、結果的には誤りだ。

そこまで認知症が悪化する前に、少しでも安心できる環境に置いてあげたら悪化の速度はもっと緩やかになったと思う。

認知症の一人暮らしは「可能か不可能か」ではなく、「本人のためか」で判断するべきで、そのためには時期を逸してはならない。

本人のためになり、家族のためになるのが施設入居だ。

認知症の親を施設入居させた人は誰しも思うことだろうが、入居できた日の解放感や安心感といったら、この上もないものだった。

「一人暮らしの不安感」は家族のほうも感じている。
その不安感は四六時中、いつでもどこでも頭から離れない。

認知症の一人暮らし」は、本人にもストレスであり、家族にも大きな慢性的ストレスとなっている。

「可能か不可能か」ではなく、認知症の一人暮らしは「不適切で有害、危険」で、そのままにしていていいものではない。

できるだけ早く「一人暮らしからの脱出」を図ることが、本人のためだと思う。
そして、お世話になったご近所にこれ以上迷惑をかけないためにも。

うちの親はサ高住に入居して状態がかなり良くなった。
三年間も要介護度に変化がないという安定状態にもなった。

「一人暮らしの不安感」の大きさを示したものだと思う。



             <That's Ninchi Show 2 No.1141>