認知症の介護ストレスと持続可能性。。
認知症の在宅介護は継続可能だろうか。
近頃は「持続可能性」という言葉をよく耳にするが、認知症の在宅介護についてもこの点から考えてみるべきだろう。
介護という労働は身体的にきつい。その一面だけでも持続可能性は少ないと言える。
自宅での在宅介護は、多くが「嫁、娘、妻」という中高年女性に担われている。体力のある若い男性がいるのは施設だけだ。
また、認知症の介護は精神的にきつい。
「故意ではなく、病気がそうさせている」と知っていても、痛いものは痛い。継続的に傷つけられたら、気力は失せていく。
身体的な面と精神的な面、双方向からの打撃では続けてはいけない。
無理をして続けると、これらの介護ストレスに付属した慢性的なストレス反応により身体を壊し、精神をも病むことになる。
それらを「ストレスだと思うからいけないんだ」とか、「ストレスがあっても上手にストレスを解消すればいい」と言う人もいる。
自宅で介護しながら、それができるのだろうか?
ストレスから身を守るには、「充分で良質な睡眠」「健康的な食事」「習慣的な適度の運動」が必要だという。
昼夜の区別なく騒ぐような人と一緒に暮らしていたら、充分で良質な睡眠はとれないだろう。
また、「健康的な食事」というのは内容だけでなく「規則的に、定時に」という意味もある。
「認知症の人に合わせる」ことを求められていたら、「食事時間だから無視、相手にしない」ということはできない。
認知症の本人に食べさせるだけで、時間と労力をとられ、自分の食事時間がなくなったり、疲れから食欲がなくなることもある。
遊んでばかりで食べてくれない人や、「毒が入っているから食べない」と言うような人に食べさせるのは容易なことではない。
認知症の人と一緒に暮らして、毎日規則正しく「健康的な食事」をとることは難しいだろう。
充分な睡眠も、健康的な食事もとれていないのに、「習慣的に適度な運動」ができるだろうか?
寝不足で栄養不良で、そんな半病人のような人に「スポーツでストレス解消を」と言っても無理だ。
気力も体力もない。何よりも時間がない。
「少しの時間でも余ったなら、眠りたい」という人に、「せめてラジオ体操だけでも毎日」と言ってもムダだろう。
従来のストレス対処法は認知症の在宅介護には全く役に立たない。
自宅での認知症の在宅介護は長期的には継続不可能だと思う。
数週間や長くても数ヶ月、そういう短期的な継続なら可能だ。
これから介護を始める人は「継続可能な方法を選び、自分なりのストレス対処法をみつける」ことが大切だと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1138>