これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症、何かにこだわる。。。

認知症には「こだわる」という特性もある。

個人差はあるが、わりと多くのケースでみられると思う。
特定のことに対して執着心が強くて、少しも譲らない。

元々執着心の強い人はそれがより強くなるが、「発症前はそんな人ではなかったのに」というような人も少なくないらしい。

後者の実例が、うちの親だ。
発症前までは全く「物に執着する」人ではなかった。

切手収集など「集める系」の趣味はなく、輪ゴム・包装リボン(ひも)・包装紙や空き箱などを「取っておく」人でもない。

リサイクルやリユースとは無縁、すぐ捨てる。
発症前は「もったいない」という言葉を聞いたこともない。

母の日や誕生日に贈り物をすると、次に会った時にその品物が手元にあるという確率は50%ぐらいだっただろうか。

仲のいい友人や親戚のおばさんにあげてしまっていて、残っていないことが多い。「それ、いいね」と言われたので差し上げたそうだ。

花を贈った時など、その鉢は数日後には近所のクリーニング店のカウンターで飾られていた。「三日も見たら充分だから」と言っていた。

ところが、認知症の発症後は全く別人のようになった。

何でも大事にしまい込む。古くなって使えそうにない物まで、何でも「とっておく」ので、収納しきれず、床にあふれる。

足の踏み場もない状態、部屋じゅう、家じゅう物だらけになっていた。

いわゆる「ゴミ屋敷」とほとんど同じ状況だった。
ゴミ屋敷の住人も「どこか脳が壊れた人」なのかもしれない。

「これ、もう使えないから捨てよう」と言ったり、勝手に捨てたりすると本人はものすごく怒る。

「もったいない。欲しい人がいるかもしれないのに」と。

そんな訳で、家族も訪問介護のヘルパーさんも手がつけられず、状況は改善できない。

少しだけ捨てる、本人が気づかない程度だけ処分するに留まる。

普通の人の目からは「ゴミ同然」でも、本人には「お宝」に見えているのかもしれない。そのようにしか理解できなかった。

当時は何もできずじまいだったが、今から思えば方法はあった。

本人が「誰かに使ってもらうために、とっておく」と主張しているのだから、「欲しい人がいるから」と言って持って帰ればよかった。

本人の承諾を得て持ち帰り、捨てればいい。簡単なことだ。

そのあとのことは、本人の記憶力がどこまでかによる。
次の日には忘れているなら、多くの場合ごまかし通せるだろう。

古くて使えないような物、ほとんどゴミと思われるような物を捨てさせないで困っている、そういうケースは案外多いかもしれない。

どう対処したらいいか、それを教えてくれる人がいたら・・と思う。



             <That's Ninchi Show 2 No.1136>