これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症に抗精神病薬、死亡率が二倍以上。。。

認知症の人も精神科系の薬でおとなしくなることはある。

そうは言っても、誰にでも効くとは限らないし、効いたとしても効果が一時的だったり、思うような効果が出てなかったり。

使ってみて「効果もなく、副作用もない」のならマシだが、「効果はあるが、副作用が大きい」となると、健康を害する。

最悪の場合、期待した「異常行動を抑制」という効果がさっぱり出ないのに、副作用だけが大きく出ることも多い。

昨日のテレビ報道によると、「認知症になって初めて抗精神病薬を投与すると、死亡率が二倍以上になる」ことがわかったらしい。

順天堂大学による一万人規模の調査で判明したそうだ。

「初めて」ではなく、調査以前から使っていた人々は死亡率に変化はないそうだ。それがなぜなのか、そこがわからない。

以前から使用していたというのは、「うつ病」や「統合失調症」などの精神病があった人なのだろうか。

そういう精神病が原因で認知症を発症することも多いらしい。

この調査からわかることは、「精神病ではない人に安易に抗精神病薬を投与すると危険だ」ということだろう。あたり前のことだが。

しかし、家族が手に負えなくなって「何とかおとなしくさせてほしい」と医師に頼めば、抗精神病薬の投与しか方法がないから、

「やむを得ず」「一か八か」で処方箋を出す医師もいると思う。

困窮している家族を救う方法が他にあればいいのだが。
認知症のタイプにもよるが、ほんとうに打つ手のない場合もある。

うちの親(85歳、胃ろうで寝たきり)の場合もそうだった。徘徊や妄想が激しくなった頃に、抗精神病薬を処方してもらった。

当時(2008年)の処方は以下。
<朝食後>
エビスタ 60mg×1        骨粗しょう症治療薬
バイアスピリン 100mg×1   抗凝血、血栓抑制
ブロプレス 8mg×1        降圧剤
タケプロンOD 15mg×1    胃酸分泌抑制、胃潰瘍治療薬
アスパラCA 200mg×1    カリウム補給

<昼食後>
アスパラCA 200mg×1 

<夕食後>
ワーファリン 1mg×1     抗凝固薬(血液凝固を阻害)
アスパラCA 200mg×1 

<就寝前>
グラマリール 50mg×1     抗精神病薬ドパミン抑制
メバロチン 10mg×1      高コレステロール血症治療薬
ソラナックス 0.4mg×2    抗不安薬精神安定剤
プルゼニド 12mg×1~2   便秘症治療薬

グラマリールというのがそれ、抑制系精神病薬だ。
抑制系は効きすぎると、脳の活動が低下して廃人のようになる。

効果はあった。少しおとなしくなったのだが、それも一時的で、そのあと「介護拒否で暴れる」という事態にもなる。

介護拒否が激しくなった頃には、「抑肝散か、何かもっと強い抑制系の薬を」とも思ったくらいだ。主治医に相談してみた。

アルツハイマーの薬「メマリー」も頼んでみた。人によっては、おとなしくなる場合があると聞いたので。

だが、それらの薬は「効果が期待できないのに、副作用だけが出る」として出してくれなかった。

そういうわけで、その後も介護拒否で手を焼いた。だが、それで長生きできたと言える。結果としては良かったのだろう。

認知症は「薬には頼れない」ということだ。

              <That's Ninchi Show 2 No.1124>


参考:認知症抗精神病薬、慎重に投与することが必要
                   (NHK NEWS WEB)

認知症に伴う幻覚などの症状が現れたときに投与される「抗精神病薬」について、初めて投与された高齢者は、全く投与されていない人に比べ死亡率が2倍以上高くなったことが順天堂大学の研究グループの調査で分かりました。研究グループは「リスクを医療者や家族が把握し慎重に薬を使うことが必要だ」と指摘しています。
抗精神病薬は、BPSDと呼ばれる認知症に伴う幻覚などの症状が現れたときに投与されるもので、調査は平成24年から25年にかけて、順天堂大学の研究グループが全国357の医療機関アルツハイマー認知症の高齢者合わせておよそ1万人を対象に行いました。

まず、調査の開始時点で、すでに抗精神病薬の投与が続けられていたグループの4800人余りと、全く投与されていないグループの4800人余りについて半年後の死亡率を比較したところ、ほとんど差はありませんでした。

ところが、調査の期間中に初めて薬を投与された85人について、全く投与されていないグループと比べると、半年後の死亡率が2.53倍高くなったことが分かりました。肺炎や心不全で死亡した人が多く、薬を飲み始めてから2か月から半年の間に死亡率が高くなる傾向がみられたということです。
研究グループの代表で順天堂大学の新井平伊教授は、調査によって薬を使い始めるときのコントロールの重要性が明らかになったとしたうえで、「リスクを医療者や家族が把握し慎重に薬を使うことが必要で、どうしても使わざるをえない場合は少量で短期間が望ましい」と指摘しています。

抗精神病薬を巡ってはNHKが去年、認知症の専門医を対象に行ったアンケート調査で、寝たきり状態になるなどの重い副作用が出ていたケースがあることが分かっています。アメリカでは死亡率を高めるとして使用を控えるよう警告が出されていて、日本でも薬の使用に関するガイドラインが見直され長期間の使用を避けるなど医師に対し、慎重に投与するよう求めています。