これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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老人介護が困難な時代は。。。

子育ても老人介護も困難な時代になっている。

虐待や育児放棄・介護放棄という悲しい事件が次々と起こっているが、その原因は、「個人の資質、個人の能力不足」だけではない。

育児も老人介護も、個人が責任を負ってはいても昔はそれだけではなかった。血縁や地縁で結びついた社会も重荷を担いでくれていたから。

自己責任の背後に社会的責任があることを今の人は気づいていない。

戦前までは、たとえて言えば「個人は各自が属する社会という大船に乗って海を渡る」状況だった。

個人的な諸条件(能力や環境要因)が劣っていても、社会がそれを補ってくれるから、溺れずに海を渡ることが可能だった。

嵐が来ても、血縁や地縁という鎖で守られた大きな船に乗っていれば、漕ぎ手も多く沈没せずに生き残れる。

今の日本社会は、たとえれば誰もが皆「たった一人か二人で小船に乗り大海を渡る」という状況だ。海が静かな時も、嵐の中でも。

以前「認知症家族」のKさんが、認知症介護を振り返って「嵐の中、一人小船で溺れそうになっていた」ようだと表現していたが、

この状況は多くの人にあてはまると思う。

大波を何とか全力でしのいだと思ったら、また次の波。どこまで漕いでも陸地は見えず、疲労困憊の中で不安感と戦いながら漕ぎ続ける。

SOSを出しても救助船は来ない。たまに見かける船も、全てが小船で自分の船を操るだけで精一杯、助けてはくれない。

そういう無縁社会の今、消えてしまった地縁や血縁に代わる第三の「新しい縁」を作ることが必要なのでは?

いつまで待っても救助船(=施設の拡充)が来ないのなら、自分たちで新しい大型船(=第三の縁、社会力)を作ればいい。

難しいことではあるが、何もしないで政府を批判し、わが身を嘆いているだけでは何も変わらない。

ひとりひとりの意識改革が必要だと思う。



                                <That's Ninchi Show 2 No.1109>