老人施設の「胃ろう枠」は。。。
施設を選ぶのは難しいが、胃ろうとなると更に困難だ。
老人施設には「見えない胃ろう枠」がある。施設の案内書にも書いてないし、介護情報公表システムにもそんな項目はないのだが。
現実として「胃ろう枠」はある。施設によって人数は違うが、その違いは「看護師の人数、キャパ」によるらしい。
胃ろうだと初めから断られる場合や、待機していても果てしなく順番が来ないことがあるのはそういう理由だ。
こうなると、施設を選ぶのではなく「施設に選ばれる」という立場で、入所できる施設があるだけでラッキーと思ったりもする。
うちの親(85歳、胃ろうで寝たきり)が老人ホームに入所するまで、「胃ろう枠」については具体的なイメージが全くなかった。
あちこちで断られてだんだんとわかってきたのだが、どうやら「看護師一人につき胃ろう老人は三~四人」という基準があるようだ。
それなら、施設を選ぶときに「看護師の人数」をチェックすれば、ある程度なら「胃ろう枠」が見えてくるかもしれない。
そこで再び介護情報公表システムを検索し、前回比較した特養Aと特養Bで、看護職員に注目して比較してみた。
<特養A 定員270人 待機者399人>
介護職員数: 常勤 64人 非常勤 41人 計105人
看護職員数: 常勤 5人 非常勤 4人 計9人
経験年数5年以上の介護職員の割合: 7.6%
平均的入所日数: 1424日
<特養B 定員70人 待機者148人>
介護職員数: 常勤 34人 非常勤 4人 計38人
看護職員数: 常勤 4人 非常勤 3人 計7人
経験年数5年以上の介護職員の割合: 42.3%
平均的入所日数: 1435日
この二つの施設は規模(定員)は大きく違うが、立地や開設年やボランティア受け入れなど他の条件はほとんど同じだ。
うちの親の入所先ということなら、どちらでもいいと思っている。
だが、看護師の数が「胃ろう枠」に比例するなら、特養Aは望みがないということになるのでは?
これはまちがいではと思うぐらい、特養Aの看護職員数が少ない。
特養Bが7人、特養Aは特養Bの四倍近い定員なのに、9人。
定員は多いが「胃ろう枠」が少ないのだろうか?
それとも、「研修を受けたら介護職員でも胃ろうケアができる」ので、看護職員は少なくても「胃ろう枠」はそれなりにあるのだろうか?
今の介護業界の事情では、スタッフに「胃ろうケア研修」を受けてもらう余裕がないらしい。忙しいのと、離職率が高い等々の理由で。
そのように、以前入居していたサ高住のケアマネージャーさんが嘆いていた。だから胃ろうのケアは訪問看護に頼ることになると。
介護情報公表システムには「スタッフの研修の有無、程度」というような項目もあった。「痰の吸引」などが書かれていたと思う。
そこに、「胃ろうケア研修」は記載がなかったようだが。
ほとんどが研修を受けていないから、記載するまでもないのだろうか。
「介護職の胃ろうケアも可能」となって何年もたつのだが。
制度を作っても、それが使われていないのだったら無意味だ。
介護情報公表システムに「胃ろう枠」を載せるか、もしくは「胃ろうケア可能な職員数」を記載してもらいたいと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1105>