老人施設で事件が続いているが。。。
認知症の特性に合った制度がいまだに整っていない。
スタッフ募集に「介護経験も資格も不要」という施設も多い。いくら人手不足だからといっても、それでいいはずがない。
認知症の介護の難しさをわかっていたら、経験や資格(訓練や教育)なしで「即、介護の現場」という判断はあり得ない。
そんな人に命を預かるという重責を負わせるのは、無理だ。
経験もなく訓練教育も受けてないから、問題がおきそうな状況を見逃し、適切な対応ができず、事件や事故につながってしまう。
また、事業者がわかっていても、制度や一般通念に縛られていて「ふさわしい対応」ができない場合も多いだろう。
夜間に騒ぐような人、問題を起こすような人はスタッフ室(詰め所)の近くに集めるとか、相性の悪い二人は隣室にしないとか。
しかし、老人ホームやサ高住(住宅型老人ホームも含む)はこれができない。空き部屋に入居したら、そこで固定されてしまう。
最初から、たとえば「201号室は9万円、501号室は12万円」で契約して入居しているから、変更不能だ。
隣に「昼も夜も大騒ぎする老人」が入居してきても、ガマンするしかない。その人が出て行くのを待つか、他の施設に転居するかだ。
高額な入居一時金を払っていたら、そう簡単には転居できない。
入居の規約に「他の入居者の迷惑になる行動があったら退居」というような条件があっても、なかなか出て行ってはくれないだろう。
病院のようにスタッフ室の隣に「予備室」を設け、自傷多傷の危険のある人等を一時的に隔離できたらいい。
そのような部屋を作るのはコスト増で、利益追求型の経営者には受け入れられないだろう。介護制度で縛るしかないかもしれない。
予備室を設けたり、資格も経験もなく採用したスタッフを教育したりするのはムダなコストと考える経営者は多い。
しかし、事故や事件が起きてからのほうが支出額は格段に増える。
なくなった人の命をお金で償うことはできない。いくら賠償金をもらっても遺族の気持ちは癒せない。
「こんな施設に入居させてしまって」と後悔するだけだ。
安心して暮らせる終の棲家として、安全のための費用だけは削ってはいけない。それができないなら介護事業から撤退すべきだと思う。
<That's Ninchi Show 2 No.1086>