認知症の人に言い聞かせることは。。。
認知症の人に「言い聞かせる」ことはできない。
丁寧にわかりやすく説明すると「その時だけは」理解してくれることもある。一時的なもので、次にはつながらないのだが。
たとえば「トイレの水を流さずに出てきてしまう」時、その場で家族が「終わったら必ず水を流してね」と言えば、できる。
その場で声をかければできる。だから「次もできる」「一人でいる時もできる」と思いがちだ。
だが、時間がたって一人になると、もとのままだ。トイレのあと、水も流さないし、手も洗わない。
認知症の人が「前もって」言われたことを思い出せるはずがない。
そのうちにお尻をふくこともなくなる。手が不自由でふけないのではなく、「ふいたつもり」なのか「ふくことを忘れている」のか。
思い出せないなら、紙に書いて貼っておけばいい。普通はそうだ。
トイレに「終わったら必ず水を流してね」洗面所に「トイレのあと、手を洗ってください」と書いた紙を貼ったら、どうだろう?
結果は同じだ。どんなに大きな字で書いたとしても見えていないのか、視野に入っていたとしても「壁の模様」だと見えているのか。
脳が壊れるということは記憶障害だけですまないようだ。
認知症の人は一人では何もまともにはできない。
冷蔵庫の扉が開きっぱなしだとか、ドアや引き出しが閉まってないとか、家族にとっては毎日毎日イライラすることばかりだ。
「どうして言うことを聞いてくれないの」とイライラするのではなく、「言い聞かせることはできない」として期待しないことだ。
「一人ではできない」ことでも、誰かが側で声をかければできる。
認知症の人を一人にしてはいけない。
<That's Ninchi Show 2 No.1069>