認知症にお薬カレンダーは無意味だ。。。
「お薬カレンダー」は認知症の人には意味がない。
うちのおばあちゃん(85歳、胃ろうで寝たきり)が認知症を発症したばかりの頃、「薬がきちんと飲めない」という問題が出た。
当時、主治医が「言えば言うだけ薬を出してくれる先生」だったので、睡眠薬を含めて10種類近くの薬を服用していた。
複数の薬を、朝昼晩と寝る前の4回、それも種類によって一度に飲む個数も違う。認知症の人にそれができるはずはない。
そこで、「訪問薬局」の担当者(といっても個人経営なので店主)に頼んで、それらの薬を一回分づつ小袋にパックしてもらった。
錠剤やカプセルなどの個別包装をはずして、一回に飲む薬を一つの袋にまとめると、「朝の袋、昼の袋」というように四種類になる。
それを分包という。薬局で「分包サービスを」と頼むといいそうだ。
これで相当わかりやすくなったから、きちんと飲めるかと思った。
ところが、やはり同じことだった。
そこで薬局に行って「お薬カレンダー」を買ってきた。
朝のポケット、昼のポケットというように別々に薬の「分包」を一つづつ入れておくもので、透明ポケットだからよくわかる。
飲んだか飲んでないか、一目瞭然だ。まちがうはずがない。
結果は同じだった。それどころか、お薬カレンダーがめちゃめちゃになっていたこともあった。
昼の所に朝の薬があったり、翌日の朝のポケットが空っぽだったり。
ひどい時にはお薬カレンダーが半分くらい空っぽで、そこにあった薬がゴミ箱に捨てられていたこともある。
その時は「どうしてこんなことをするのか」全くわからなかった。
「認知症の人を叱ってはいけない」と、怒りを抑えるのがやっとだ。
今になってわかる。きっと「飲み忘れをごまかす」ためで、それを家族にとがめられるのが嫌だったのだろう。
できないことを期待してしまって、かわいそうなことをしたと思う。
認知症の人は一人では薬の服用も難しい。誰かが側にいて「こっちが朝の分だよ」と教えてあげないと無理なようだ。
その後、ケアプランを変更してもらって、この問題は解決した。
朝昼夕、三食の食事時間と寝る前、計四回ヘルパーさんが訪問してくれ、食事の見守りと同時に薬の服用を介助してくれることになった。
それにしても、薬局の店主が「お薬カレンダーは認知症の人には役に立たない」ということを、なぜ教えてくれなかったのだろう。
たかだか千円の売り上げのために黙っていたとは思えないから、知らなかったのかもしれない。
ただ、この人はケアマネージャーの資格も持っていて、うちの親の最初のケアプランを作ってくれた人でもある。
ケアマネージャーの試験には出題されないことなのだろう。
<That's Ninchi Show 2 No.1068>