これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症、家族だってかかわりたくない人も。。。

認知症の人と「かかわりたくない」のもわかる。

認知症になると、それまで仲良くしていた友人や親戚、ご近所の人などから敬遠されるようになる。

うちの親は明るい性格で「友人が多い」ほうだった。年をとるにつれ同世代の人に先立たれてしまっても、十歳以上若い友人もいたから。

親戚付き合いも多かった。この世代では珍しくもないのだが兄弟姉妹が多く、冠婚葬祭に出るだけでも忙しいが、日常的にも。

そういう人でも認知症を発症すると、とたんに孤独になる。

友人や親戚の足が遠のくのは、一つには「認知症への理解不足」だろうか。「認知症の人はこわい、暴力をふるわれる」というような。

認知症の人の暴力や暴言は確かによくあるが、個人差があり全員が全員というわけでもない。本人のストレスの大きさにもよる。

また、むやみやたらと暴力に至るのでもない。理由はある。

脳障害により「ガマンできないから、腹を立てる」わけで、ガマンが必要な状況にならなければおとなしくしているように思う。

このような「認知症の特性」がわかっていて、適切な対応法を知っていれば認知症の人の支援ができなくもない。簡単ではないが。

しかしそれでも「認知症の人の側にいるだけで受けるストレス」という問題は解決しない。「どうしようもない違和感」とでもいうような。

症状の軽い人であっても、「何を考えているのかわからない」「なぜこんなことで怒るのか理解できない」ことばかりだから。

意思疎通が難しい中で、一緒にすごすというのは短時間でもイライラするものだが、それを顔に出さずに「笑顔で」安心させねばならない。

介護職の人にはできることでも、訓練を受けていない一般の人にとっては至難の業だ。緊張の連続で胃が痛くなる。

友人や親戚が離れていくのは「自分をストレスから守る」という自然な反応なのかもしれない。

認知症の人の側には家族しか残らない。

家族の中でも最初から「かかわるのを避けている」人もいる。また協力してくれていても「介護うつ」で戦線離脱という例もある。

「誰も代わりがいない、自分しかいない」という孤独な介護が少なくないのはそういう理由だと思う。

政府は「周囲の人の協力で、認知症の人も従来通りに暮らせる」という理想を掲げているが、あまりにも現実離れしているのではないか。

同じ親から生まれた兄弟姉妹でも協力してくれないことが多いのに、「ご近所の支え」がどれほどあると思っているのだろう。

多くの人が認知症介護の厳しい現実を知らない。

介護殺人や自殺、一家心中などの事件が起こると「なぜ周囲に助けを求めなかったのか」「声を上げてくれたら」と言うだけだ。

おそらくは「誰も頼りにならない」と思うようなことが何度もあり、あきらめて「自分しかいない」とがんばってきたことだろう。

がんばって、がんばって、ついに「声を上げる」気力もなくなって。

そういうことは世間や周囲の人には理解できないだろう。当事者にしかわからないことだと思う。

認知症の人と家族」が孤立しないようにするべきだ。

だが、この問題の解決には大きな壁があるようだ。今の日本社会でクリアーできるだろうか?


             <That's Ninchi Show 2 No.1061 >