胃ろう手術の前後に嚥下機能検査があれば。。。
胃ろう問題は無視されていると思っていた、が・・
うちのおばあちゃん(84歳)が「胃ろうで寝たきり」になって、この秋で二年になる。脳梗塞の再発で入院し、胃ろうを付けて退院した。
終末期とみなされているが、栄養状態は良く、元気だ。
当時から今までずっと「病院が儲けようとして安易に胃ろうにしたのでは」という疑念は消えていない。
なぜなら、病院は胃ろう手術を勧めるだけで、手術前に充分な「嚥下機能テスト」もなく、「摂食・嚥下リハビリ」などもなかったからだ。
手術後の「嚥下機能テスト」「嚥下リハビリ」もない。
あとは施設なり家庭なりで看取るしかない、そういう考えだ。
聞くところでは、胃ろう手術は簡単な上に健康保険の点数が高く、病院経営を考慮すると効率的で「おいしい手術」だったらしい。
胃ろう老人が増えているのはそこにも原因がある。それを政府や厚労省は問題視していない、というように今までは思っていた。
ところが、厚労省も何もしていないわけではなさそうだ。先日ふと目にしたネットの記事によると、「おいしい手術」を値下げしたらしい。
2014年の報酬改定で、1万70点から6070点になったそうだ。その代わりに、胃ろう手術前の嚥下機能テストに2500点が加えられたとか。
これなら、「充分な嚥下機能テストもなく胃ろう手術」という安易な道は消えるだろう。少しでも診療報酬を増やそうとするならば。
いつも文句ばかり言っていたが、(知らないうちに)ちゃんと仕事しているお役人様もいたようで、この改定は評価していいだろう。
ただし、まだこれだけでは不十分だ。胃ろう手術後の嚥下機能テスト・嚥下リハビリ、それらが追加されて初めて効力が出てくる。
胃ろう手術に「手術後の嚥下リハビリ」がセットされていれば、安心して胃ろう手術を受けることができるだろう。
今のところは、「胃ろうを付けたら病院の仕事は終わり、あとは介護施設なり家族なりでどうぞ」というのが普通だから。
家族に丸投げされても、「どこで検査したらいいのか、どこなら嚥下リハビリできるのか」など医療介護の業界人でもない限り知り得ない。
うちの親も手術後に嚥下機能テストも嚥下リハビリも、全く何もしないままで二年が過ぎようとしている。
「この二年が終末期で、看取り介護だった」とは思えないのだが。
<That's Ninchi Show 2 No.1050 >
参考: 日経メディカル 嚥下機能検査は退院後に (2015.10。15)
胃瘻造設術の点数は、2014年の診療報酬改定で1万70点から6070点に大きく引き下げられ、代わりに「胃瘻造設時嚥下機能評価加算」(2500点)が新設された。術前に嚥下造影(VF)または嚥下内視鏡(VE)を行い、嚥下機能を評価すれば、従来の胃瘻造設術の点数に近い報酬となる。そのため、胃瘻造設前には積極的に機能評価がされるようになった。その一方で、退院した後にこうした検査がしっかり行われているかは定かではない。