これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症患者にとって病院は。。。

認知症患者は治療できない。だが、手術はできる。

薬物治療や点滴治療、じっとしていないとできない検査(MRI など)やリハビリの対象ではないが、手術など外科的処置の対象にはなる。

認知症だと治療できないが、多くの認知症患者は病院で勧められて「胃ろう手術」を受けている。

感染症脳梗塞などで嚥下機能が低下すると、普通は点滴で栄養補給しながら嚥下訓練して、しだいに流動食などが食べられるようになる。

普通はそうだが、認知症を発症した人は違う。訓練などのリハビリはない。認知症の人のリハビリを担当する職員がいないらしい。

普通の人なら対応できるが、認知症となると会話が成立しないことが多く、何も伝わらないのでリハビリしようにもできない、ということだ。

ただし、リハビリがなくても食べられるようになる人もいる。

うちのおばあちゃん(84歳、胃ろうで寝たきり)も二回目や三回目の脳梗塞発作時は嚥下機能が自然に回復し、食べられるようになっていた。

そういう自然回復したケースはいいのだが、そうでない場合はしばらくすると医師に「胃ろうを」と言われることになる。

その対象は「認知症で嚥下困難」だけではない。嚥下機能はあるのだが、食べようとしない(食べなくなった)認知症患者も含まれる。

嚥下困難なら胃ろうは当然で必要な処置だが、嚥下困難ではないのに胃ろう手術というのは「家族にとっては」判断が難しいところだ。

だが、病院にとってはこれが当然らしい。なぜなら唯一できることが手術だから。認知症患者を前にして医師は無力だ。何もできない。

食べないのが「うつ」によるものだとして、普通の人ならば抗うつ薬などの精神科の薬を投与すれば「拒食」がなくなる。

認知症患者には通用しない。脳が壊れていて薬が効きにくいから。

また、食べないのは「食べ方を思い出せない」「食べるという行為を忘れている」のなら、指導して、食べ方の見本を見せればいいのだが、

それも認知症患者には難しい。言葉で説明してもわからないし、身振り手振りで説明しても、それでも伝わらないことが多い。

病院が他の選択肢を一つも提示してくれないのには、理由があった。
胃ろう手術だけを勧めるのは、これしかできないからだ。

「病院が胃ろう手術という医療を提供しようとしているのに、断るというのなら、病院にいる理由はないから退院すればいい」

「病院ではもう何もすることはないので、家に連れて帰ったらいい」

このフレーズは実際に病院勤務の医師から言われたことだ。
ここまではっきりと言う医師は少ないと思う。

認知症患者にとって病院は救急時だけのもの、手術と外科的処置だけしか医療には期待できないのだと、それがやっとわかった。

治療も、リハビリも、精密検査も、認知症患者は対象外らしい。

何もできない病院に期待したのがまちがいだった。病院のほとんどが認知症患者には対応できない。「リハビリ病院」も「精神科病院」も。

認知症患者が嚥下訓練しようと思ったら、頼れるのは病院ではなく介護スタッフと「嚥下訓練のできる」訪問歯科医だけだ。

認知症患者が身体機能の保持のためにリハビリしようとしても、頼れるのは病院ではなく、介護スタッフと訪問リハビリの先生だけ。

病院は認知症患者の治療もリハビリもできず、所によっては満足な介護もできない。できるのは救急時の手術などの外科的処置だけだ。

それが日本の医療であり世界水準だということだ。認知症を発症したら病院には何も期待しないのがいいと思う。

認知症患者にとって病院は救急時だけのものだ。

そして、できるだけ長期入院しないことだ。病院が認知症に対応できるようになる日までは。

             <That's Ninchi Show 2  No.1021 >