これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の人も笑顔、家族も笑顔は。。。

認知症の人のために」を選ぶと、家族の負担は増える。

認知症の人への接し方、適切な対応法などが、テレビで紹介されることが最近特に多くなった。世間一般も関心を持ってきたようだ。

先日見ていた認知症特集でも、「適切な対応があれば、妄想、徘徊、暴言、暴力など困った行動はなくなる」として、解決法としていた。

それらの迷惑行動は認知症の人(本人)の心が不安だからで、その不安感を軽減させ、安心させれば迷惑行動は減る、そう説明していた。

「否定しない」「せかさない」「とがめない」という基本を守り、本人の気持ちに添って、意思を尊重して無理強いしない。

本人に疎外感や孤立感を持たせないように、また不安感からストレスを増やさないように、いつも側にいて支え、安心させる。

そうできれば、家族を困らせるような迷惑行動は減るから、介護する家族もラクになる。このような解決法を提示していた。

これで解決、もう困らせられることはないから、家族は笑顔。本人も安心して機嫌がよくなって、笑顔。というわけだ。

しかし、そんなにうまくいくだろうか。

「否定しない・せかさない・とがめない」を守るだけでも、家族は緊張する。気をつかう。がんばらないとできない性格の人だっている。

その上に「いつも側にいる」となると、24時間の緊張。そんなに緊張状態を続けられるものだろうか。

認知症の人と一緒にいると、短時間でも普通の人は(気をつかわなくても)精神的に疲れる。話が合わないし、おかしなことを言うから。

家族だって話をするのも嫌、会いたくないと思うこともある。本人からの電話にだって実は出たくない。話をするとストレスが増える。

少しの時間だけガマンして話をするのすら嫌なのに、「いつも側にいる」ことを要求されてもできるはずがない。

介護職の人はガマンして適切な対応ができてるのだが、勤務時間だけという限定があるからできるのだろう。

本人のためには「いつも誰かが側にいて安心させる」ことが最善だとしても、それを行う家族にとっては最悪かもしれない。

認知症の本人への特別な配慮を要求され、自分を抑制し、自分の時間を奪われている家族には、介護はストレスそのものだ。

家族の心と身体の健康のためには、ストレスの原因(認知症の本人)とは距離を置いておくのが最もいい。

介護放棄して逃げ出す人がいるのは、自分を守るという本能的な行動かもしれない。逃げないでいたら自殺や介護殺人になるとしたら。

認知症の本人のために」という方法は、ほとんどが家族の負担を重くするものだ。「本人も笑顔、家族も笑顔」は難しい。

その両者のバランスをどうとるか、そこが鍵だと思う。

             <That's Ninchi Show 2  No.1007 >