これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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「たった一人の在宅介護」は無理。。。。

また「介護殺人」事件があった。

71歳の息子による「老老介護」で、自宅での「たった一人の在宅介護」、これでは、かなり介護能力のある人でも継続は難しいだろう。

認知症の介護は条件的に恵まれていても難しいものだ。介護できる家族が複数いても、経済的に豊かでも、どれだけ好条件であっても難しい。

「たった一人」では無理だと思う。できなくて当然で、できたら奇跡。

しかし、今の社会はそれを「あたり前」と見ているようだ。役所関係もご近所も親戚も「息子(娘)が同居しているから安心」だと。

独居老人には社会福祉の支援もあり、ご近所の協力もあるかもしれないが、家族が一人いるというだけで支援の対象からは除外されている。

息子(娘)がいるから「だいじょうぶ」だとみなされているが、決してだいじょうぶではない。一人では無理だ。

こういう考え方を改めない限り、このような事件はなくならない。「たった一人の介護」を見過ごして放置している社会では。

事件の概要は以下。



大阪府枚方市の容疑者(71)は、7日正午ごろ、自宅で母親(92)の左胸を小刀で刺して殺害した疑いが持たれています。容疑者は15年ほど前から母親と2人暮らしで、認知症を患う母親を介護していたということです。近所の人は、「すごく評判のいい息子さん。よっぽど(介護で)疲れてしまったのでは」と話しています。容疑者は警察の調べに対し、「母から『電話や、かばんがなくなったので110番しろ』と午前4時に言われ、口論になって刺した」と供述しているということです。


世間一般の人にはわからないかもしれないが、深夜早朝に起こされたのは、この日だけではないだろう。毎日毎晩、寝不足だったと思う。

「ものとられ妄想」で警察に通報するのはよくあることだ。息子を起こさずに、勝手に本人が電話してくれていたらまだマシだったのだが。

認知症が進んでいて、電話のかけ方もわからなくなったのかもしれない。眠っている息子を起こして電話させるところを見ると。

人間、眠らせてもらえないほど苦しいものはない。眠らせないという拷問もあるくらいだ。ガマンできなくなるのは無理もない。

ここに至るまでに何か別の道はなかったのだろうか。

こういう「在宅介護の悲劇的結末」が何度も何度も繰り返されるのを見ているだけの社会でいいのだろうか。

介護は個人の問題、個人の責任だとみなしているようだ。言葉では「認知症の介護は社会の問題」で地域社会で支えると言いながら。

誰にも支えられていないからこそ、この悲劇がある。


            <That's Ninchi Show 2 No.1003 >