これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症だから何を言ってもわからない、とは限らない。。。。。

認知症だからといって、何を言ってもいいわけではない。

一部の人には「何を言ってもどうせわからない」という思い込みがあるようだ。どんなに説明しても理解できてないことは多いから、無理はないが。

しかし、「どうせ聞こえてない。聞こえていても理解できない。瞬間的にわかったとしても、すぐに忘れる」から、何を言ってもいいわけではない。

介護では「認知症の人には言ってはいけないこと」があり、多くの人がそれを守っている。否定しない、せかさない(=早く~して)、などなど。

いつも気をつかって話しているから、介護する側は常に緊張状態で精神的に疲れる。が、それが本人のためならとガマンする。

しかし、医療の側の人々は少しも気をつかってくれない場合が多い。医師や看護師という立場上、認知症を知らないとは思えないのだが。

本人の前で「海馬がやせているから、典型的なアルツハイマー」と言う医師がいた。認知症を疑って脳を検査し、結果を聞きにいった時のことだ。

家族が付き添っているのだから、別室で家族だけに言ってもいいのに。今の医学で治らない病気の告知は、もっと慎重にすべきでは。

認知症の人は元々不安感が強い。病名を告知されたら不安感が増大し、そのストレスで症状が悪化する可能性がある。それを考えてほしい。

介護施設老健=介護老人保健施設)の医師も同じだった。

感染症で「高齢だから覚悟してください」と言われて集まった家族に、本人のベッドの脇で「急変時は救急搬送するか、ここで看取るか」をきく。

本人の意識がないのならいいが、当時は小康状態で目を開けているし、何やら遺言めいたことも話していた。認知症だから支離滅裂だが。

「大事なものはチャック袋に入れてある」という遺言。ずっとあとになって、葬式の日の朝、その意味がわかった。家の権利書だった。

何も本人のベッドの側で言わなくてもいいことだが、医師には何の配慮もない。認知症だから何を言ってもわからないと思っているのだろう。

医師はそうだが、看護師さんは違った。いよいよ危篤という日、眠り続けて意識がないと思われる本人に「いつもと同じように」話しかけてくれた。

それを不思議そうに見ていると、看護師さんは「案外聞こえているそうですよ、わかっていると思います」と言う。経験から言うのだろうか。

危篤状態から生還した人が、意識のない時に周囲の人の言葉が聞こえていたと証言した例がいくつもあることは知っている。

が、それは脳が壊れていない人だからでは? 認知症では無理だろう。

そこへ別の看護師さんが来て「呼吸が止まってから連絡するか、止まる前か、どちらがいいですか」とたずねられた。本人のベッドの脇で。

この人は「意識レベルが低下していても本人は聞こえている、わかっている」とは思ってないようだ。看護師さんもいろいろだ。

意識がほとんどない状態も、認知症で脳細胞が減り、制御困難となった状態も、実際にどこまでわかっているかは本人しかわからない。

「わかっているかもしれない」という立場で、気をつかって話すべきだろう。「どうせわからない」とみなすのでなく、「いないもの」とみなすのでなく。

「どうせわからないから」と、「いないもの」とみなして、本人の目の前で本人を無視して話をするのはどうかと思う。

もしそれが自分だったら、もし聞こえていたら(わかっていたら)、どういう気持ちになるかを想像してみてほしい。