これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症、資産管理と成年後見制度。。。。。

代理で、証券会社の国債を解約した。

うちのおばあちゃん(84歳、胃ろうで寝たきり)が10年前に買った国債が満期になった。実は満期は6月、手続きが面倒で今に至ったわけだ。

寝たきりの人が満期解約の手続きができるはずはない。が、委任状で家族が何とかできるというものでもなく、考えるだけでうっとうしいからだ。

郵便貯金の解約は委任状だけで可能だった。また、大手銀行の定期預金の解約は入金時に代理人カード(家族用)を作ってあったので問題ない。

認知症の発症から六年余りになるが、これまで解約が難しかったのは貸金庫(信用金庫)と、国債(大手証券会社)の二つだけ。

「歩けないし、会話も不自由、車椅子で連れて来るのも困難」と事情を説明しても、「本人が窓口に来ること」が解約の条件だということで。

粘って交渉して、「担当者が施設まで来て、本人の意思を確認する」ということで解決した。貸金庫も国債も。

国債の解約は今回で二度目だ。担当者も同じ人なので、金額も少ないし、わざわざ施設まで確認に来なくてもいいと思うのだが、それはそれ。

銀行や証券会社は規則を守る、きっちりした人ばかりだ。職業上、そうでないといけないし、そうあるべきなのだろう。

ということで、また私鉄の駅で担当者を迎えて、老人ホームに案内し、おばあちゃんに解約の説明をして、「うん」とうなづくのを見てもらった。

前回と比べて言葉が少なくなっているので、「うん」と言えるかどうか心配だったが、都合よく声が出て、担当者も納得して帰ってくれた。

成年後見人」になっていたら、ラクに事が進められたかもしれない。

預金や金融商品の解約と、病院や老人施設などの手続き、これが「成年後見人」を利用する主な目的だそうだ。

新聞広告やテレビ報道などで、「認知症の老人には成年後見人を」と言っているが、なぜかそれにかかる費用については何も言わない。

成年後見人制度は「一部のお金持ちの資産を守る」ための制度だ。

家裁に申請する手続きにも数万円から十数万円の費用が発生し、その後も毎月、後見人と後見監督人への報酬として数万円づつかかる。

何千万、何億という資産があるなら、毎月五万円の報酬を払うのはお安いものだ。が、何十万円、高くて百万円の預金の解約には合わない。

家族がいれば、成年後見人にならなくても小額資産の管理はできるし、老人施設への入居や急病時の入院の手続きも問題なくできる。

問題は家族のいない人が認知症になった場合だ。それでも、お金持ちの老人か、逆に生活保護を受けている場合なら問題はない。

お金持ち老人には成年後見人制度があるし、生活保護受給者には市町村が税金で成年後見人を付けてくれる。

そうでない普通の人、一般庶民の「お一人様」の老後が心配だ。

病院も施設も、役所も金融機関も、すべてが「家族が代理で」という意識でいる。家族がいない人のことを考えてはなさそうだ。

「家族がいるのが当然」という社会通念は過去のもの、いつのまにか社会は変わってしまっているのだが、制度が追いついていない、それだ。

成年後見制度の費用については、当ブログのこちらに。