できないはずと思っていることも認知症の人は。。。。。
リミッター解除という言葉を聞いたことがある。
「火事場の馬鹿力」というように、非常時には思いもよらない程のすごい力が出せるが、それはリミッターが解除されたからだそうだ。
重いタンスを一人で持ち上げると、身体に大きな負担になるから、ふだんは無意識にリミッターが働いて、そこまでの力を出さないようにしている。
災害時などの非常時は別だ。自分の生命があやういとなると、少々身体が壊れても、力を出し切って難を逃れないといけないから。
そこで一時的に脳からリミッター解除の指令が出て、無制限の状態になって、信じられないような馬鹿力が出せる、ということらしい。
認知症の人は、こういうリミッターが全く働いてないことがあるのでは?
できるはずがないと思って安心していたら、ベッドの柵をまたいで脱出して骨折したり、高い窓から逃げ出して事故にあったり。
思いもよらない力を発揮することがある。非常時でもないのに。
もしかしたら本人にとっては非常時で、何が何でも逃げ出さねばならないと思い込んでのことだったのかもしれない。
意識的に自分を制限することや、力を加減することができなくなるのは、よく知られている。認知症の人には「適当、ちょうどいい」はない。
無意識の制限、それも場合によっては消失しているように思う。
生物として当たり前の、ごく基本的な生命維持のための機能が一つ一つ壊れていくとしたら、自然界ではとても生き残れない。
もし仮に、自然にまかせてみたらどうだろう。一人にしていたら長くは生きていけない。こういう人の命を守っていくことは容易ではない。
無制限に何をするかわからない。危険なことも、命にかかわることも。
がんばって介護して、結果的に納得のいかない結末になったとしても、それはそれ、それでいい。決して自分を責めることはないと思う。