普通でない人を普通に暮らさせるのは。。。。。
認知症の人は普通ではない。
「普通なら言う」ことは言えず、「普通は言わない」ことまで言う。「普通はガマンする」ことを激怒し、「普通は何でもない」ことを神経質に気にする。
先日、老人ホームの新聞広告に「普通に暮らす、そのお手伝いをするだけです」というフレーズがあった。そんなことができるとはすごい。
普通は夜になったら寝る。が、認知症の人は夜でも寝ないことがある。
寝る前に普通はパジャマに着替える。が、うちのおばあちゃんは違った。着替えるのは週に一回か二回、お風呂に入った日だけ。
このように普通でない人はほとんどの場合「普通の暮らし」はできない。普通にさせるのは困難で、時には危険だ。
「普通の人の普通」という概念から離れて、「認知症ではこれが普通」という、別の基準でもって考えるようにすればいいのだろう。
みんながそういう考え方になれば、認知症の人の在宅介護も持続可能性が出てくるが、そうでなければ一般家庭では対処できないと思う。
それでも多くの場合、長期間の持続は難しいだろう。普通の人が普通でない人と一緒に暮らし続けることはできない。どう考えても。
認知症の介護は誰にでもできるものではない。
その困難さは想像を超えている。日本人によくある「みんながしているから私も」というレベルではない。自宅での在宅介護は特に。
できている人は確かにいる。が、それは条件がそろった場合だけだ。
経済力や体力といった個人的能力、認知症のタイプや異常行動のレベルや持病、友人知人ご近所の協力の程度というような条件が。
条件や環境が悪かったら、考えられないような苦労をする。ストレスで健康を害するほどの。大げさに言っているように聞こえるかもしれないが。
「普通でない人と一緒にいる」というストレスがどの程度のものか、それを最初に想像してみてほしい。