脳が壊れると、あちこちに不具合が出る。。。。。
体温の調整、それも脳の働きだ。
世間一般の認識では、認知症は「記憶障害」だけが知られていて、それ以外は何も不具合がないかのように誤解されているように思う。
記憶障害だけならば、治療不能であってもそれなりに寿命を全うすることができるから、本人も家族もそれほどの苦労はない。そうでないから苦しむ。
脳細胞の果てしない自滅、その発端が記憶障害というだけに過ぎない。発症してからは本人の生命活動を奪うまで、やむことなくその自滅が続く。
自滅する部分が担っていた機能はその都度失われるか、極端に低下するか、異常に亢進される。機能不全とは「ゼロになる」ことだけではない。
食べなくなることもあるし、異常にたくさん食べるようになることもある。音や光などの刺激に鈍感になることもあれば、異常に敏感にもなる。
うちのおばあちゃんの場合は初期から運動機能障害が出て、歩行困難だった。「認知症によるバランス障害」だと、かなりあとにわかったのだが。
身体をまっすぐにしておく、それができない。まっすぐに立つことも難しいから、歩きながらバランスをとるなど、本人にとっては大変なことだった。
座っているのもしんどい。横に倒れないようにバランスをとることが上手にできないから。30分も座っていたら不機嫌になるのはそのせいだった。
去年の4回目の脳梗塞発作から以後、寝たきりになったのだが、その頃から体温調整も機能不全となった。原因不明の発熱がそれだ。
ベッドが窓際にあり、天気がよく日光がさして室温があがると、本人の体温もあがりっぱなし。汗をかいて下げることができない。
感染症を疑って血液検査をしても、炎症反応はなく、原因がわからず、病院にいても医師は何もできない。いつものように「老化です」と言うだけ。
普通の人にとって、「バランスをとる」こと、「汗で体温を下げる」ことは意識するまでもなく「普通にできる」ことだ。自然に備わっている機能だから。
認知症の人は普通の人が普通にできることが(うまく)できない。できて当たり前のことが大変難しい。脳がきちんと働いていないからだ。
「こんなことはできて当然」という思い込みを持たないこと、それが認知症の介護には絶対に必要になる。むしろ「できなくて当然」のほうがいい。