認知症が進んで自己主張がなくなって。。。。。
老人ホームへの転居は思ったよりラクに進んでいる。
老人マンションへの入居の時は苦労した。うちのおばあちゃんが「絶対いや」と言い張るからだ。どんなに説得してもダメだった。
今は認知症の反抗期(介護拒否の時期)が過ぎて、おとなしくなり、自分の意見を言うこともなく、何でも言いなりだ。引越しすることに問題はない。
自分のいる所がどこか、それもわからなくなったら、何も「生まれ故郷」にこだわることはないからだ。そのことだけで遠距離介護を続けてきたわけで。
おばあちゃんは去年の脳梗塞発作が原因で寝たきりになり、胃ろうになった。が、半年たっても「何もかもわからない」状態にはなっていない。
家族のことはわかる。「家族のうちの誰か」という程度かもしれないが。
名前を呼ばれることはなくなったが、顔は覚えているようだ。名前も単独では覚えていて、聞けば「娘は○○、息子は△△」と正しく言える。
顔と名前が一致しないだけだ。どちらも情報としては保存されているのに。
情報と言えば、胃ろうになったことは理解できていないのか、思い出せないのか、ヘルパーさんが来るたびに「食堂へ連れて行って」と言っていた。
自分がいる場所がきちんとわかっているということだ。老人マンションの自室にいて、三度の食事の時には一階の食堂に移動するということが。
それも最近は言わなくなったそうだ。去年の夏までは食堂へ行って食べていたのだが、そのことを思い出せなくなったのだろうか。
今回、予想外のこと(費用上)で急に施設入所となったが、本人の了解は得るべきだと思い、何度も説明したが、わかっていないようだ。
引越しする理由はわかる訳がないので割愛し、「大阪の老人ホームに引っ越すよ」と言ったのだが、何の反応もない。聞き返しもしない。
言葉が少なくなった。脳梗塞のせいで発音がしにくいから、本人もしゃべるのが嫌なのだろうか。「あ」なのか「お」なのか「う」なのか、わからない。
それでも、たまにしか来ない家族が毎日のように来て、荷造りをしている、そのことはわかるだろう。引越し以外にはないと理解しているはずだ。
ところが、違った。帰り際に「もう帰るよ」と言うと、おばあちゃんは「ご苦労様。仕事探してるの?」と言う。 まさかの失業妄想の再来だ。
仕事で忙しいはずなのに毎日来ているのは「また失業した」からで、今は再就職先を探している・・と思ったのかもしれない。たぶんそうだ。
「仕事はあるから、だいじょうぶ」と言って帰った。安心しただろうか。