これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の人の着替え拒否は。。。。。

着替えを嫌がるのも介護拒否の一つらしい。

理由としては、「服を脱ぐと寒いから」「今は着替えたくないから」「手足を動かすのが(それなりに脳を使うので)しんどい、疲れるから」・・・などなど。

大きな理由として、「着替えさせてくれる人、つまり介護する側の人が嫌いだから」というのもある。嫌われる理由が思いつかないことも多い。

扱いが粗雑で痛い目にあったのを覚えていたりする。仕事は丁寧にできていても、本人の心の中では「ひどい悪者」にされているかもしれない。

一度でも何かとがめるようなことを言ったりすると、それが妄想をふくらませてしまうこともある。覚えてなくてもいいことはなぜか覚えているものだ。

認知症の人は記憶ができない、というわけではない。記憶したことの多くが思い出せない、というのが正しい。だから思い出せる時もある。

担当者を別の人にすると着替え拒否がなくなるという。が、うちのおばあちゃんには無効、老人マンションに入居後に何年も着替え拒否は続いた。

夏でも着替えたくないのだから、寒いから嫌というわけでもない。ということでこの六年間、入院した時以外はパジャマに着替えることはなかった。

理由がわからない。認知症になる前はパジャマに着替えていたが、よく考えれば一時期そうでなかったことがある。あの神戸の大地震の時だ。

あの頃は誰もが「いつ余震が来てもすぐに逃げ出せるよう普段着で寝る」ようにしていたから、おばあちゃんもしばらくはそれに従っていたと思う。

もう一つある。戦時中も同じように昼間と同じ服装で寝ていたらしい。おばあちゃんから聞いたことがある。いつ空襲が来るかわからないからだ。

「パジャマに着替えて寝る」ということは「非常時」にはできないことだった。

裏返して言えば、安心できる環境にいる時にだけパジャマで眠ることができる。認知症の妄想に悩まされている時は「非常時」なのだろうか。

「殺される妄想」で誰かが殺しに来るから、いつでも逃げ出せるように夜でも普段着で寝ていたのかもしれない。ほんとうの所はわからないが。

当時、本人は「たすけて」「たすけてくれる?」と何度も言っていたが、周りの人は何もできなかった。安心させることができなかった。

ドアや窓に鍵をかけても、鍵穴やエアコンの噴出し口から「その人」は侵入して、おばあちゃんを怖がらせる。妄想とはそういうものだ。

いったん始まった妄想を消すことは難しい。不安感やストレスがそこまでに至る前に「環境を整えて安心させる」ことが必要だったと思う。